新型コロナ患者ゼロ。うそぶく北朝鮮が挑発に出るこれだけの証拠

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世界各国が新型コロナウイルスの封じ込めに四苦八苦している中、「我が国の感染者はゼロ」と主張し続け、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮。しかし、その内実は厳しいようです。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、現地でキャッチした座視することができない北朝鮮情報を伝えています。

韓国総選挙後の北の動きが気になる

北朝鮮ではコロナ感染がゼロだとずっと主張しているが、かなりの感染や死者が存在するようだ。ベールに包まれていて、「ようだ」は言えるが明確なところはわからない。きょうは、各種のネットから北朝鮮の今後の動向をご紹介したい。

自由アジア放送によると中国から輸入した1、2月のコメとトウモロコシは、コメが1,300トン、トウモロコシが1,100トンで普通の年に比べると90%も減少した。北は6月まで穀物がない。この6月あたりまでの穀物ゼロの時期を「ポリコゲ」という。麦の峠という意だ。麦が出るまでの山場といったニュアンスであろう。このポリコゲをいかに切り抜けるかが、北の住民にとっては死活問題だ。特に今年は厳しい状況だ。北当局にとっても厳しい状況であるゆえ、北当局は、不正摘発と非社会主義現象の撲滅という名目のもと、トンジュ(富豪)から物資を収奪している。これまではこのトンジュを利用して北の統制のための資金を調達していたのだが、今は彼らから物資もとって金もとるというずるい行動にでている。不満をいえばただちに収容所、労働鍛錬所に送る。金正恩体制の維持のためにはなりふり構わずなんでもやるという状況になっているのだ。

ここで、トンジュという単語についてちょっと解説したい。「トンジュ」とは、北朝鮮で新興富裕層を指す単語ですなわち「お金の持ち主」という意味になる。ドンジュという単語は1990年ごろ、北朝鮮の「苦難の行軍」の最中に登場した。当時、北朝鮮は配給制社会だったが、深刻な自然災害と凶作、そしてエネルギー難などで配給ができない状況になり、多くの市民が飢え死にし飢餓が蔓延した。「苦難の行軍」が北朝鮮社会に与えた影響は様々だが、その一つがこの“トンジュの誕生”だった。「苦難の行軍」以後、「金が第一」という金銭万能主義が知らず知らずのうちに北朝鮮市民たちの間に浸透し、様々なお金持ちが登場する。市場の活性化とともに、トンジュは朝鮮労働党傘下の事業に手を出し、事業の規模を拡大して成長した。

初期のトンジュは闇市場に中国産物を供給しながら事業をする行商人だったが、市場の存在が認められ、市場の規模が大きくなり、初期の商売から脱して高利貸業、建設業、海外投資業、運送業、金融業などをさまざまの分野で徐々に地位をを上げ、北朝鮮内の国家事業、官民合作投資、国営合作事業に参入するようになった。事実上、彼らは北朝鮮内の資本主義そのものだと言うことができ、朝鮮労働党も彼らの存在をある程度認めており、特に金正恩体制に入ってからはその程度が深まり、偶像化作業に資金を寄付すれば、朝鮮労働党に入党しやすくなったためトンジュたちが労動党員であることが多くなり、トンジュのための施設も相次いで建設されることになった。実際、2010年代に平壌(ピョンヤン)で摩天楼が急速に増えたことや、地方でも建設ブームが起こったのもトンジュたちの投資のおかげだった。対北朝鮮制裁が長引き北朝鮮の経済を圧迫している中、トンジュと北朝鮮の朝鮮労働党幹部との政経癒着はますます深まっているという。「トンジュ」、ロシア語ではオリガルヒ。旧ソ連に存在した。共産圏での単語だ。

北当局は、不正摘発と非社会主義現象の撲滅という名目のもと、このトンジュから物資を収奪している。平安南道のピョンオン郡では、3月中旬に保安省が突然コメとトウモロコシ問屋(=トンジュ)の家宅捜索をやり、地下のキムチ貯蔵所をはじめ庭も掘り起こして1トン近い穀物を押収していった。このトンジュ(卸売商人)に対し「国が混乱しているのに食料を買い占めて私腹を肥やしている」との罪をなすりつけ翌日すぐに労働鍛錬所に送ったという。

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