さあ、元妻はこの年金の半分が貰えると思っていたが、実際は婚姻していた時の厚生年金期間である平成15年4月から平成24年7月までの112ヶ月間の厚生年金記録を分割する。112ヶ月間の年金はさっき計算した368,323円なのでこの年金のみが分割される。この年金368,323円を最大50%分ける?という事は368,323円の半分の184,161円貰えるって事なのか。
ちなみに元妻は独身時代と婚姻期間中に厚生年金に加入していた時期があり、元妻自らも独身時代の記録に基づいて年額50万円と婚姻期間中の妻自身の厚生年金記録で年額10万円の老齢厚生年金が支給されていた(厚生年金期間は200ヵ月とします)。他に老齢基礎年金60万円と振替加算約7万円支給されてるとします。元妻自身の年金合計は
- 老齢厚生年金60万円+老齢基礎年金60万円+振替加算7万円=127万円
まず、婚姻期間中の厚生年金期間のみが分割されるので、独身時代の記録や基礎年金は省いて考える。で、元夫婦同士の婚姻期間中の年金を合わせると、夫368,323円+妻10万円=468,323円となり、これを50%で分割する。お互いの年金を両天秤にかけて、釣り合うようにしようねって事。そうすると468,323円×50%=234,161円となる。つまり、夫は368,323円から234,161円に下がって、妻は10万円から234,161円にアップしたという事。あくまで夫婦両者の婚姻期間中の厚生年金記録を合計した金額の50%という事。年金額は分割請求の翌月分から変更する。
なので、元妻の年金は独身時代の厚年50万円+婚姻時代に加入していた厚年と離婚時分割との年金234,161円+老齢基礎年金60万円=1,334,161円となる。
振替加算7万円が消えてしまったのは、この妻自身には2200ヶ月分の厚生年金期間があり、離婚分割によりさらに夫から112ヵ月間の記録を貰った事により312ヵ月の記録が有るとみなされて、240ヵ月以上の厚生年金記録となってしまったから。
自分の厚生年金記録と離婚分割記録と合わせて240ヵ月以上になった人を譲満了者(譲ってもらって240ヵ月以上になった人)といい、240ヵ月以上になったから振替加算が消滅してしまった。こういう不利益も発生する事がある。一方、夫は年金額合計が老齢厚生年金(報酬比例部分1,661,083円-分離婚割による減額134,162円+差額加算653円)+老齢基礎年金781,700円=2,309,274円(月額192,439円)となる。
まあ、今回の記事では計算は簡易にしてますが年金分割の正式な計算も知りたい方はこちらもどうぞ。
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期待するほど増えたり減ったりしてはいないですね^^;こんなんじゃ納得いかない!という事で裁判起こしたりして、もっと年金から分けてもらうという事はできない。普通の財産分与とか慰謝料取るとかいうノリでやるものではない。あくまで年金の法律に従って、分割するという制度を行ってるものだから。
それでは今日はこの辺で。
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