世界的エンジニアが明かす、ZoomよりSlackの方が「効率的」な訳

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リモートワークの流れが加速するに連れ、ZoomやSkypeといったオンラインミーティングを可能にするツールがにわかに注目を集めています。しかし、「初対面の人にZoomミーティングを申し込むのは失礼にあたる」と言い切るのは、「Windows 95を設計した日本人」として知られる世界的エンジニアの中島聡さん。中島さんは自身のメルマガ『週刊 Life is beautiful』に今回、冷静な筆致でその理由を記しています。

※ 本記事は有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』2020年4月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

コロナ時代の働き方3 リモートワークと非同期通信

先週、OwnPlateの開発に関して、とあるところから取材を受けたのですが、開発メンバーの間のコミュニケーションは基本Slackで、ZoomやSkypeを使ったミーティングすらしていないと話したところ、とても不思議そうな顔をされてしまいました。私のようにリモートで働くことに慣れた人たちが、ZoomやSkypeによるミーティングを多用していると誤解している人も多いようなので、ここではその話をします。

コロナ騒ぎでリモートワークが注目されていますが、私は既にここ数年間、リモートでの仕事をして来ているので、仕事に関しては何の不自由さも感じません(もちろん、スポーツや外食に関してはとても不自由に感じています)。e-mail、slack、Github、Google Drive、Dropboxなどを活用して、逆にオフィスに通っていた時よりも生産効率良く仕事をしています。

注目していただきたいのは、私が使いこなしているツールにZoomやSkypeが入っていない点です。私からZoomミーティングを提案したことは一度もありません。他の人から「Zoomでミーティングがしたい」というリクエストを受け、参加することも週に1、2度ありますが、実はとても迷惑だと感じいています。

私から言わせれば、初対面の人に(相手の時間を奪う)Zoomミーティングを申し込むこと自体がとんでもなく失礼なんですが、それを全く理解していない人が大半です。

多くの人が、「リモートで働いている人たちは、ZoomやSkypeを多用しているに違いない」と考えているようですが、大間違いなのです。そもそも、「リモートで働く=ZoomやSkypeでミーティングをする」という発想自体が間違いなのです。

ミーティングの目的は、ほとんどの場合、情報の共有と意見交換ですが、これだけ多用なコミュニケーション・ツールが揃っている時代に、そもそもミーティングが本当に最適な手段なのか、ということを今一度見直すべきだと私は考えています。

情報の共有であれば、slack、Google Drive、Dropboxなどを使えば、ミーティングよりずっと効率的に行うことが可能です。情報を提供する側は、「読んでもらうための資料」を作る必要がありますが、情報を受け取る側が節約できる時間を考えれば、この方が圧倒的に効率的です。

意見交換も、ほとんどの場合、非同期に意見の交換が進むSlackの方がはるかに効率的だし、全員に発言の機会を与えることが出来ます。ミーティング(オンラインミーティングを含む)のように、発言の機会を伺う必要もないし、文字で書くので、より正確な情報も伝えられます。

Slack上のコミュニケーションでは、しばしば、外部の情報へのリンクを貼り付けた上で話が進みます。そんな時は、リンク先の情報を参照しながら話が進みますが、ミーティングではそんなことはほぼ不可能です。

私に言わせれば、ミーティング(もしくはZoom/Skype)の方が適しているのは、2~3人の出席者が、何か需要なことをスピーディに決めなければならない時だけです。それ以外のミーティングは、全てSlack(もしくはMicrosoft Team)などを活用した、非同期型のオンライン・コミュニケーションにすべき時代なのです。

ちなみに、先日も、シアトル・シンフォニーのZoomミーティングに参加しましたが、全くの時間の無駄でした。そもそも出席者が10人もいたため、それぞれが発言する時間は少なかったにも関わらず、話すべきトピックが多すぎたのです。

私ともう一人の出席者は、「長期的な戦略を立てた上で、今何をすべきかを決めるべき」と主張したのですが、その議論と、「長期的な戦略の話は別にして、今何をすべきか」の議論が同時進行してしまい、意見がまとまらないうちに時間が来てしまい、続きの議論は次のミーティングまで持ち越しになってしまったのです。

私も含めて出席者の大半はボランティアなので、次のミーティングまでは特に何も議論が進まず、次のミーティングも同様の展開になることが目に見えています。

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