コロナによる追い風で見えてきた5Gが創造するリモート型社会の姿

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NTTドコモが4月28日に決算説明会を開催。そこで語られた5Gの契約状況や新型コロナによる影響について、メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんが伝えます。石川さんは、ドコモが掲げる5Gによる「リモート型社会に対応した価値創造」というぼんやりしていたビジョンが、リモート診療の広がりなど、コロナの影響下で鮮明になってきたと解説。以前のようには戻らない日常を支えるものとして5Gの力が不可欠になると見ています。

ドコモ、5G契約者数は4万超。約半分が5Gギガホを契約――コロナ終息後、ニッポンの経済を5Gが救うか

4月28日、NTTドコモは2019年度決算説明会を開催。コロナウイルス感染症拡大の影響が語られた。

外出自粛要請の中、モバイル通信トラフィックには大きな影響があった。対面コミュニケーションの減少によって音声通話は増加した。一方で、在宅率が上がり、自宅でのインターネット利用が増えたことで、モバイルデータ通信は微増に留まった。大きな影響を受けたのが国際ローミング。当然のことながら、海外への渡航や来訪者が減ったことで大幅な減少となった。

また端末やサービスの販売にも影響が出ている。ドコモショップの営業時間短縮による来店客数の減少、さらには端末物品の納品遅れもあるという。これにより、4Gや5Gへのマイグレーションが減速するという影響も出始めている。

NTTドコモでは3月25日より5Gサービスを開始している。3月末までの契約者数は1.4万で、直近では4万を超えているという。その半数が定額制の「5Gギガホ」を契約。4Gのギガホは2割程度の契約率のようで、5Gスマホでは「無制限キャンペーン」目当てで契約しているユーザーが多そうだ。

NTTドコモでは、2020年度には約250万、2023年度には2000万規模の5G契約を目指すという。今年度に250万ということは、やはり秋に発表、発売となるiPhoneは5G対応ということなのか。

NTTドコモでは、5Gの2020年度における取り組みとして「リモート型社会に対応した価値創造」というものを挙げている。医療、教育、製造などの現場でリモート型への転換を図っていくというわけだ。

5Gが始まる前にも、様々な分野で「5Gをリモートで活用しよう」という機運があったが、なかなかピンとくるものではなかった。確かに技術的には導入できても「法律の壁もあって難しいよねぇ」という雰囲気だったのだ。それが、今回のコロナウイルス騒動で一変した。オンライン診療は、あっという間に初診から受けられるようになってしまった。

現状では電話やビデオ通話アプリなどを利用しているようだが、これが5Gスマホと5G回線との組み合わせになれば、4Kや8Kの映像を送って診療してもらうということも可能になるだろう。臨場感のある映像を送ることができれば、患者の肌の様子や息づかい、眼球の様子なども伝えることができ、診療の精度が上がるはずだ。また、スマホと血圧計、心拍計などが連携していれば、そうしたデータも同時に送ることができる。5Gスマホを使ったオンライン診療の世界が一気に広がるような気がしている。

新型コロナウイルス騒動がひと段落したとしても、これまでと同じ日常は戻ってこない。日本の経済を立て直し、さらに成長させていくには5Gの力が不可欠なのではないか。5Gが始まる前には「あらゆる産業にデジタルトランスフォーメーションを起こす」と期待されていたが、まさにコロナ危機を脱するためにも5Gが日本に変革をもたらすタイミングがきたと言えそうだ。

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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