在NY日本人社長がコロナ禍で叫ぶ「もっと前のめりになれ」の意味

 

前のめりに結果を求めよう

たぶん、人生の不測な事態は、すべて「急」なんだと思います。人間ごときが「今はちょっと…」と交渉したところで、ウイルスも、ガン細胞も、交通事故も、身内の不幸も、待ってくれない。おかまいナシ。予測なく来る。こっちの都合なんて関係ない。あまりに急です。待ったナシ。それらにこちらの都合を忖度する気は限りなくゼロ、です。目の前に「ドンっ」とくる感じ。問答無用です。

そんなことはわかっている、と言われるかもしれません。なにをいまさら、と。でも果たしてそうでしょうか。本当に僕たちはそのことを心から理解しているのでしょうか。頭でわかったような気になっているだけなんじゃないだろうか。ふたりにひとりはガンになると言われて、ならないひとりに自分はなると根拠なく思い込んでいないだろうか。今から予防すればなんとか避けられると、去年も、一昨年も言い聞かせてなかっただろうか。その前の年も。その前の前の年も。

街の封鎖と、おさななじみからの告知を同時に受け、そんな僕がセミナーで話したいことは、セオリー通りの「ありがたいおはなし」ではありませんでした。だからと言って、「不測の事態は急に来るから、常日頃から一生懸命生きましょう!」なんて人生訓を言いたいわけでもありませんでした。メモしたアウトラインをモニターの前で捨てた僕の本当に伝えたいことは、「みなさん、前のめりになって、焦って、いちいち結果を求めましょう」ということ。

「前のめりになって、焦って、結果を出す」―。一見すると、あまりに間違ったセリフです。事実、参加者のみなさんは「え!?」という顔に一瞬なりました。常日頃から「人生」を「人の生きる道」を勉強されている集団です。聞き慣れない、あまりにツッコミどころ満載のセリフに、次の瞬間、異論、反論を浴びせようという空気になりました。「なにを言っているんだ!?」と。

なぜなら、僕たちは、特に僕たちより上の世代の方は、何十年も言われて続けてきたから。「結果なんかより、その過程の方がずっと大切」「焦って結果ばかりを求めてもロクなことはない」「実力もないのに、前のめりになっても失敗するだけだ」と。こんな正論を、人によっては半世紀以上、聞かされてきたと思います。親に、先生に、上司に、先輩に、映画に、ドラマに、小説に、漫画に、セミナーに。

僕自身も実はそう思っています。反論の余地はない。100%正しい。結果よりもその過程の方が重要。焦って結果ばかりを求めても、ことがうまく運ぶことはない。賛成です。その通り。でもね。あんまりにも、日本全国でそんな言葉を聞き過ぎて、ひょっとして一周回って「結果はどうでもいい」とか「いつまでも過程だけでいい」と無意識にもみんな思っていないだろうか。

小規模も含めると、日本全国で100を超えるセミナー、講演会をやってきました。基本、学生さんに向けてのセミナーが多いということもありますが、講演会後、挨拶にきてくれる若い世代の多くはみんなこう口を揃えます。「●●をしようと思っているんです」と。

こんなテーマで小説を書こうと思っているんです。今までにないこんなジャンルのコンピューターゲームのプログラミングをしようと思っているんです。ギターさえ揃えば、バンド組んで売り出そうと思ってるんです。今の時代、何々の資格より、実は何々の資格の方が稼げるってことが案外知られていないので、僕はその資格を取ろうと思っているんです。今度、友人3人とこんなサービスのビジネスで起業しようと思ってるんです。etc…….

print
いま読まれてます

  • 在NY日本人社長がコロナ禍で叫ぶ「もっと前のめりになれ」の意味
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け