在NY日本人社長がコロナ禍で叫ぶ「もっと前のめりになれ」の意味

 

成功でも失敗でも結果が大事

もちろん、そんな焦って前のめりになっても失敗する可能性の方が高いかもしれない。だったらまた挑戦すればいい。企業のように数億円の損失も出ない。なにより「いつか」「いつか」と言い続けて、結局、「もう少し若かったらなぁ」と自虐的に笑う晩年になるより数倍マシだ。

僕自身もそうです。子供の頃からベストセラーを書くのが夢でした。2冊目以降は別にして、1冊目は結果を出したかった。つまり「売れ」たかった。ここで繋がってくださるみなさまと、出版社の営業のおかげで、いちおう無名作家のデビュー作としては上々の売れ行きでした。本が売れない今の時代、ベストセラーと言っても支障ないほどには売れました。この事実だけを見れば、いちおう「夢は叶った」わけです。

では、なにか、僕自身の周囲で世界が変わったか。…そんなに変わってない(笑)いや、全然、変わってない。もちろん印税も入ってきたし、フェイスブックでは2000人以上が友達申請してくれました。でも、その程度。それでは、個人的に自己顕示欲が満たされたとか、承認欲求が満たされたとか、そういった気持ち的な変化はあっただろうか…。いや、そっちも、そうでもない(笑)

てことは。もし売れなかったとしても。つまり、失敗に終わったとしても。そう自分の環境は変わらなかったんじゃないだろうか。何も結局、変わってないんです。もちろん、いい意味で。

あえて言います。大手企業の事業目標や、政府の政治方針に比べて、特に、僕ごときや僕のセミナーに参加してくれる若い世代の「夢」や「目標」や「成功」や「失敗」なんて、その程度のもの。それくらいに自覚した方がいい。だからこそ、無意識に逃げなくてもいい。とっとと決着をつけた方がいい。

前述の「結果を求めよう」というのは、なにも「成功して実績を上げよう」と言ってるわけではありません。成功でも、失敗でも、どっちゃでもええから、どっちかハッキリさせようぜ、と言いたいだけなんです。

デビュー作が売れた。でも、そう何かが変わったわけでもない。もし売れていなかったら。おそらく、それでもそう大きく変わらない。つまり、僕のあれだけ望んだ「ベストセラー」という成功も、あれだけ恐れた「まったく売れなかった」という失敗も、結果を受けて、僕が次に取るアクションは変わらない。「2冊目を書こう」。デビュー作を担当してくれた編集者の彼女と約束しました。「次は、もっといい作品を世に出そうね!」と。

結局、アカデミー賞を受賞した映画監督ですら、次回作を撮らないと「一発屋」と言われます。アーティストもそうです。アスリートもそうです。生きている限り、挑戦は続く。「前のめりになって、焦って、いちいち結果を求めよう」とはつまりは、そういう意味なのです。白なのか、黒なのかを、現代のアメリカや日本で「一般市民」をやっている僕たちが恐れる必要はない、ということなんです。「ドンっ!」と目の前に予期できない不測の事態が来るときは来るのだから。

今回、世界の中心でロックダウンを経験し、もしこのまま生涯ロックダウンが解除されないとしたなら…、そんな想像をしました。もしくはロックダウンでなく、隕石が明日、落ちてくるとしたなら。「今、夢を追ってる最中なんだあー。夢を追ってる状態で死んでいけるうー」と幸せな顔で死ぬのは、実は、それがいちばん幸福なのかもしれない。

でも、僕は。悔しい顔で死ぬかもしれないけれど、悲しい顔で死ぬかもしれないけれど、やっぱり、白か、黒か、自分の手がけたことの結果を知りたい。で、次の一手を考えたまま死んでいく。

image by: hsc.tv / Shutterstock.com

高橋克明この著者の記事一覧

全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明 』

【著者】 高橋克明 【月額】 初月無料!月額586円(税込) 【発行周期】 毎週水曜日

print
いま読まれてます

  • 在NY日本人社長がコロナ禍で叫ぶ「もっと前のめりになれ」の意味
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け