RNAワクチンって何?
一方で、RNAを使ったワクチンは弱毒化したウイルスではなく、ウイルスに対する抗体の設計図が記されたものです。その設計図を体内の細胞に入れるわけです。そして体の細胞はその設計図に従って抗体を作るわけです。また、RNAを使ったワクチンは比較的短時間で作ることができます。そして、RNAワクチンによって細胞が抗体を作るようになるのも、比較的短時間です。そういった理由から、modernaのRNAワクチンは早くもポジティブな結果を出したということです。
一方で、コロナウイルスを無毒化する抗体が、実際にコロナウイルスに結合した時に副作用を引き起こさないかどうか調べることが非常に重要です。というのも、最近香港の研究チームが発表した報告によると、コロナウイルスの「突起」に結合する抗体が、免疫を過剰に刺激して肺の炎症を引き起こしてしまう可能性があることを示唆したからです。
ウイルスを無毒化することも大事ですが、免疫が暴走しないようにすることも非常に重要です。コロナウイルスの肺炎で肺の組織がダメージを受けるのは、ウイルスだけでなく自分自身の免疫が暴れてしまうのも大きな理由です。その免疫の暴走に関わっている分子にIL-6というものがありますが、IL-6を抑制する薬も研究開発されています。
ということで、まだまだ課題は残りますが、今日は新型コロナウイルスに対するワクチン開発の大きな一歩が達成されたのでした。副作用が少ないことが確認されたらさらに製造ラインの確立など、まだまだ乗り越えなければならない問題はありますが、コロナウイルス感染との闘いは確実に前進しています。
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