【結婚相手の選び方】間違いだらけの男選びはもはや宗教だ

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女の人の結婚に対する情熱を考える

『藤沢数希メールマガジン「週刊金融日記」』第144号(2015年1月12日配信)

僕が女性を見ていていつも思うのは、結婚への並々ならぬ情熱だ。男がセックスにこだわるように、女は結婚の二文字に異常に執着している、と思う。なぜ、日本人女性がそれほど結婚にこだわるのだろうか? それは明らかだ。生きとし生ける物、全ての生物の目的は「生存」と「繁殖」であり、女性にとって結婚がこのふたつに直結しているのだ。

顔がちょっとばかり可愛い女の子は、これまで甘やかされて育ってきた。大学でも男子学生がチヤホヤしてくれた。テスト前にノートをくれるオタクっぽい男子もいたし、社会人の彼はいつもいいレストランに連れてってくれた。それが会社で働きはじめるとどうだろう。毎日馬車馬のように働かされる。男の人はセックスさせてくれるかもしれないときは優しくチヤホヤしてくれるが、会社ではそういうわけにはいかない。男にとっては生存に必要なものは金であり、つまり仕事だ。いくら男がセックスのことばかり考えているとはいえ、自分の仕事をリスクに晒してまで、会社の女を特別扱いする男はなかなかいない。当たり前だが、仕事では男女平等なのだ。

こうやって3年ぐらい働くと、女の人はすっかり仕事に疲れてくる。そして、こんなことをこれからずっとやるのかと思うと、もう嫌で嫌でしょうがないのだ。ああ、結婚したい。旦那に養ってもらいたい。寿退社だ!

男にとって自分の生存を守ってくれるものは仕事しかないが、女は男に生存の拠り所を求めることができるのだ。その上に、結婚で繁殖もできる。男にとって結婚は繁殖のためでしかないが、女にとっては、それは生存と繁殖のどちらも同時に満たせるものなのだ。

つまり、結婚の持つファンダメンタル・バリューは、生存と繁殖にいかに役に立つか、ということであり、女の場合は結婚の価値が男のそれの倍になる。

まあ、ここまではいい。

しかし、僕は、日本人女性の結婚への思いは、そうした経済合理性、あるいは生物学的な合理性を超えて、何か信仰に近いものがあると思う。ある種の宗教なのだ。

その経済的な価値を、ほとんどの女の人は正確にはわかっていないのだが、それは将来の婚姻費用をディスカウントレートで割り引き総和を取ったものに、財産分与の期待値を足し合わせたものになる。

『週刊金融日記 第23号 金融商品として結婚相手の評価』

つまり、こうした結婚の(経済的)価値の計算式によると、自分と同程度の所得がある男性との結婚には、何も経済的な価値はないし、自分より所得が低い男性との結婚は、法的には妻側にさまざまな金銭の支払い義務が生じるということである。また、相手の男性のほうが所得が高くても、その差が大きくなければ、やはりほとんど経済的な価値はないのだ。

現在のように、女性の所得が上がった社会だと、稼いでいる女性にとっては、結婚はかなり大きな金銭的リスクを負うことになろう。

次に生物学的な側面を考えよう。どういうわけか日本では、子供は結婚してから作るものだと信じられている。実際に、日本は婚外子の数が非常に少ないが、これは世界の先進国の中では少数派なのだ。

“World Fertility Report 2012″によると、アイスランドの婚外子比率は64%、オーストラリアは56%、ノルウェー、フランスはともに55%、スウェーデンは54%である。また、イギリスも5割に迫っており、アメリカも4割を超えている。すでに世界の先進国では婚外子は概ね半分ぐらいになっているのだ。

女性の社会的地位が向上し、男女の所得格差が無くなったことがひとつの大きな原因だ。

また、婚外子というと、すぐにシングルマザーなどを想像しがちだが、ふつうにカップルが同棲しながら、法的には結婚せず、そのままいっしょに子供を育てているというのが実情だ。

しかし、日本の婚外子比率は2%であり、多くの女性が結婚できなければ子供を産むことができないと信じている。

もちろん、僕は多くの女性に、お金持ちの素敵な男性と結婚して、幸せな家庭を作ってもらいたいと願っている。しかし、お金持ちの素敵な男性というのは、定義からして、数が非常に少ないので、必ずしも全ての女性がそのような男性と結婚できるわけではないし、仮に結婚したとしても、旦那は浮気をするだろう。

『週刊金融日記 第7号 金持ちとイケメンと美人の希少性に関する定量分析』

しかし、そもそもなぜ結婚したかったのか? それは生存と繁殖のためである。ところが、そうした本来の目的から外れて、結婚そのものが目的になってしまっている女性がとても多い、というのが僕が思っていることなのだ。

現代の日本社会では、お金持ちの愛人やセフレになり、十分に金銭的なメリットを得ることもできるし、子供を産むこともできるのだが、じつに多くの女性が、そうした恵まれた機会を自ら拒んでいるのだ。そして、経済的なメリットも乏しく、Genesの観点からも低位の男性と結婚したり、また、極端な場合は、未婚・子なしで、最後まで結婚を夢見続けることもある。一人暮らしの分譲マンションで、白骨化死体が見つかるような将来でいいのだろうか。

こうして自らの生存確率を引き下げ、繁殖の機会を失っているのだ。結婚にこだわることによって。

これでは本末転倒である。

僕は日本の恋愛市場は、この結婚という幻想により大きく歪んでおり、それにこだわらない人々、とりわけ女性に大きなフリーランチを用意しているように思える。

 

『藤沢数希メールマガジン「週刊金融日記」』第144号(2015年1月12日配信)
著者/藤沢数希
理論物理学、コンピューター・シミュレーションの分野で博士号取得。欧米の研究機関で教鞭を取った後、外資系投資銀行に転身。以後、マーケットの定量分析、経済予測、トレーディング業務などに従事。また、高度なリスクマネジメントの技法を恋愛に応用した『恋愛工学』の第一人者でもある。月間100万PVの人気ブログ『金融日記』の管理人。主な著書:『なぜ投資のプロはサルに負けるのか』(ダイヤモンド社、2006年)『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門』(ダイヤモンド社、2011年)『反原発の不都合な真実』(新潮社、2012年)
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