実は情報戦が下手なトランプ
これらのことは、世界、中国政府、WHOの動きを時系列で丁寧に見て行けば、非常に説得力のある論拠をつくりあげることができます。ところが、トランプさんやポンペオさんの言葉には、説得力がありません。それで、「拡散力」が弱いのです。
たとえばポンペオさんは、「新型コロナウイルスが武漢のウイルス研究所でつくられた証拠がある」と主張していました。ところが後になって、証拠が出せないことがわかった。世界的に「ポンペオはトンデモ野郎だ」となってしまった。
トランプさんの今回の言葉も、きちんとロジカルに説明することも可能です。しかし、彼は、「中国が意図的に拡散した」件について、こんなことをいっています。WOW!Korea6/19から。
WSJによると、トランプ大統領は今回のインタビューで「中国は新型コロナが国境の外に出て拡散するよう放置したのには、経済的意図があり得る」と主張した。
つづけて「彼ら(中国)は『今我々は苦境に陥っている。米国は我々を殺そうとしている』と話している」と付け加えた。
しかしトランプ大統領は自身のこのような主張の根拠となる情報はないとし、これは自身の“勘”であると説明した。
「 勘 」だそうです。これでは、信じてもらえないでしょう。中国に大きな打撃を与えることができる「ネタ」があるのにもったいないことです。
私たちは、「日本は情報戦が弱すぎる!」と嘆きます。しかし、イラク戦争の頃から、アメリカの情報戦も劣化が激しいようです。
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