豪雨救済よりGoToキャンペーン。あくまで「人命軽視」の安倍政権

 

しかし、今回の豪雨で、益城町を流れる岩戸川が決壊したため、周囲の水田には大量の泥水とゴミが流れ込み、川沿いの道路はアスファルトが剥がれてしまいました。田植えを終えたばかりの広大な水田が、あっと言う間に泥水とゴミで埋め尽くされてしまったのです。岩戸川が決壊した場所は、奇しくも4年前の熊本地震で堤防が崩れ、復旧工事を行なった場所でした。

すぐ近くに住む男性によると、この場所は去年の豪雨でも決壊したそうです。そこまで分かっていたのに、どうして県は予算を付けて堤防を高くしたり浚渫工事をしたりできなかったのでしょうか。幸いにも、この地域では犠牲者は出ませんでしたが、熊本、福岡、大分の3県で12日までに身元が発表された犠牲者57人のうち、少なくとも約75%にあたる43人が氾濫した川沿いの地区に住んでおり、死因が「溺死」だったと報告されました。つまり、行政が適切な治水対策を講じていれば、助かった人たちなのです。

大きな災害で被災した人たちが、まだ復興の途中だというのに、新たな災害に襲われてしまう。まだ自宅を再建できずに仮設住宅で暮らしている人たちがたくさんいるのに、また新たな災害に襲われてしまう。これほど残酷なことはありません。そして、これは熊本に限ったことではないのです。

ちょうど2年前の2018年7月に発生した西日本豪雨による土砂災害では、多くの犠牲者が出てしまいましたが、それだけでなく、土砂崩れや洪水によって自宅を失った被災者が数多く出てしまいました。特に被害の大きかった岡山、広島、愛媛の3県では、一部で自宅再建や災害公営住宅への入居が進む一方で、未だに不便な仮設住宅での生活を余儀なくされている被災者が、この6月末の時点で1,774世帯、4,069人もいるのです。

災害直後のピーク時と比べれば、仮設住宅で暮らす世帯数は4割ほどに減少しました。しかし、生活再建の見通しが立たないまま仮設暮らしが長期化すると、東日本大震災の被災者のように「災害関連死」が増えてしまうのです。災害では一命を取り留めたのに、その後の仮設暮らしで体調を崩して亡くなってしまったり、将来に希望が持てなくなって自死を選んでしまうなんて、本当に気の毒です。

この西日本豪雨では、災害による直接死は224人でしたが、災害後に仮設住宅で亡くなり「災害関連死」と認定された人が、この2年間に74人もいます。しかし、今も仮設住宅で暮らしている被災者が4,000人以上もいるのですから、この「災害関連死」の人数は今後も増えて行くでしょう。そして、復興なかばでの新たな被災が、この「災害関連死」に拍車をかけてしまうのです。

近年の豪雨災害の原因の6割を占める「線状降水帯」は、それぞれの規模が小さいため、気象庁によると「予測は極めて困難」だそうです。つまり、現時点では治水対策を講じるしか対抗策がないのです。しかし、安倍晋三首相は、口先で「地方創生」だ「国土強靭化」だと繰り返すだけで、決して積極的には動きません。それは、この人にとって地方の災害など、所詮は他人事だからです。

2014年の広島の豪雨災害の時は、ゴルフを優先して対策を後回しにした安倍首相。2018年の西日本豪雨災害の時は、「赤坂自民亭」で宴会に興じていた安倍首相。こうした過去の対応を見ていれば、この人の本質が分かります。「Go To キャンペーン」に1兆7,000億円、米国製の欠陥戦闘機に2兆円、リニア新幹線に3兆円も税金をバラ撒くのなら、その前に公共事業として全国の治水対策を進めてほしい。これが一納税者としてのあたしの要望です。(『きっこのメルマガ』2020年7月15日号より一部抜粋)

image by: Twitter(@西村やすとし #経済再生)

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