歴史の捏造。「台湾鉄道の父」が日本人では困る国の隠したい真実

 

記事によれば、『劉銘伝氏は1885年から1891年にかけて、台湾の最高地方統治官として台湾巡撫を務めた人物であり、同時に台湾初の鉄道を建設した人物だと紹介。そして台湾初の鉄道は1887年から建設が始まった』とのこと。

その後、日清戦争が1894年にはじまり、1895年の下関条約で台湾は日本に割譲されました。その後、台湾総督府民政長官だった後藤新平により1899年、長谷川謹介が台湾鉄道敷設部技師長に任命されました。

日本は、台湾統治を内地と同様に扱い、台湾でのインフラ整備には日本政府が内地の資金を投入しました。鉄道事業も、重要事項の一つとして、長谷川の指揮のもと、地形調査から鉄道敷設まで徹底して行われ、台湾縦貫線を完成させました。南北台湾を結ぶ通称「海線」と「山線」の完成は、台湾島内の物流と人流を劇的に変えたのです。

このような事実から、「台湾の鉄道の父」は誰なのかという議論をあえてするなら、答えは明白です。もちろん長谷川謹介です。近代化を成し遂げるには、持続性と資本と技術が絶対不可欠です。台湾の初代巡撫の劉銘伝の近代化政策は、後任者にすべて否定されるほど稚拙なものでした。また、持続性も資本も技術もありませんでした。あったのは中華思想だけです。

一方で、日本人の文化風土については「道」が一大特色です。江戸時代の道は東海道五十三次が有名です。道路が発達していたことから参勤交代が実現しました。参勤交代は近代日本をつくったという研究論文を読んだことがあります。

日本統治時代以前の台湾も「道」はありませんでした。港が物流の拠点だったため、栄えたのは港町とその付近だけでした。これは台湾だけでなく、かつての東南アジア全体の特徴です。台湾の道路網のほとんどは日本時代につくられました。

鉄道も同様です。日本文化は道を作る文化でもあるのです。日本は、満州を接収したときも、台湾と同様に道路をつくりインフラを整備しました。それによって現地の人々は多くの恩恵を受けたはずですが、今では日本帝国主義の爪痕として語られています。

長谷川謹介の銅像は、現在、台中公園にあります。台湾の縦貫鉄道が完成した当時、記念として作られたものであり、決して民進党政権が作ったものではありません。国民党系の議員は、八田与一の銅像を破壊したことがありました。長谷川の銅像も標的にならないとは限りません。

それはともかく、蔡正元氏の議論は、真剣に反論するのもバカらしいものです。そもそも国民党の蔡正元氏は、こそこそと裏でよからぬことをしているような人物です。2020年1月には、オーストラリアに政治亡命した中国共産党の元スパイの男性が、1月の台湾総統選挙の際に、国民党に有利な行動をしろと蔡正元に脅されたといった発言をしています。

国民党幹部に“中国の元スパイ”脅迫疑惑 「世界的醜聞」=民進党

ただ今回、蔡正元のバカ騒ぎのおかげで、2020年7月7日にオープンした国立台湾博物館の「鉄道部園区」に注目が集まったことは、せめてものプラスでしょう。日本時代の建物を修復してオープンしたこの園区は、台湾鉄道の歴史が凝縮された素晴らしい施設です。歴代の鉄道車輛の展示もあります。

台湾の鉄道ファンの聖地となるとも言われています。場所は台北市大同区で、交通も便利。鉄道園区の入場料金は100元(台湾博物館4館共通券は130元)です。コロナが終息した後に、ぜひお出かけ下さい。一見の価値ありです。

「台湾博物館鉄道部園区」オープン。旧台湾総督府鉄道部の本庁舎


 

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image by: 國立臺灣博物館 - Home | Facebook

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