知る人ぞ知る経営法。ピンク・レディーが教えてくれる人事管理の秘訣

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経営する上で大切な人事管理。扱うのはモノや商品ではなく「人」であるため、なかなか管理するのは難しいものです。しかし、ビジネスの世界には経営哲学という言葉があるように、人事管理の中でも哲学の概念はとても大切だといいます。哲学の考えを人事管理に注入することで、スムーズにいくことがあるようです。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、わかりやすい哲学書として大きな反響を読んでいる芳村思風氏の著作『人間の格』から、ピンク・レディーを例にあげたわかりやすい人事管理の秘訣を紹介しています。

ピンク・レディーと人事管理の話

5月下旬にテレビ番組で紹介されて以来、大きな反響を呼んでいる『人間の格』。本書は、経営者を中心に全国から引きも切らず講演の依頼がある芳村思風氏による代表的著作です。

深い思索と実人生の中から、芳村氏は人間の本質として感性をつかみ取り、独自の理論体系を構築されました。「悩みを乗り越える技術」や「教育の最終目標」「自分で自分を教育する」など、実生活に即した論理の展開は明解で、大変示唆に富む内容です。

哲学書と聞くと、難解なイメージを受けてしまいがちですが、非常に読みやすく、若い世代の方にもぜひご一読いただきたい一冊です。

本書の中にある「時間的価値と空間的価値」というお話が非常に興味深い内容のため、項目の全文をご紹介します。

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人間が本物の人間であるための第三の条件に移ります。その条件は、価値について考えるところから出てきます。価値は人間にしかない世界です。そして、第三の条件は、この人間にしかない価値の世界から導き出されてくるのです。ですから、第三の条件も人間にしかできないことです。

一般的に、世界は時間と空間という構造を持って存在していると哲学では考えます。価値の世界にも、時間的価値と空間的価値が存在します。いや、価値は存在するのではなく、生み出されてくるものですから、時間的価値のつくり出し方、空間的価値のつくり出し方、あるいは空間的な領域での価値の現れ方、時間的な領域での価値の現れ方、というふうにいうことができます。

時間的価値というのは、時間の経過に従ってだんだん価値が出てくる世界です。先ほど述べた、より以上を目指して生きる生き方、つまり自己実現の努力によって自らを確認しながらつくっていく価値が時間的価値です。自分で自覚的に努力することによってつくっていける価値です。

空間的価値はどういうものか。その前に空間の構造を知らなければなりません。

存在と存在とが横の関係で有機的に結び付けられている世界が、空間世界の基本的構造です。宇宙でもそうです。全部の星は横の関係で結び付けられて秩序を保っています。人間世界も同じで、すべての存在は空間という世界の中で横の関係を持って有機的に結び付けられています。

そこで、空間的価値とは何か、です。存在と存在とが関係を持つことになると、Aという存在とBという存在が関係を持たなければ出てこないような、独特の価値、意味が出てきます。時間的価値は自らが努力することによって自覚的につくっていくことができますが、空間的価値はそうではないというのが特徴です。

もっとわかりやすくしましょう。たとえば、少し古くなりますが、ピンク・レディーです。ピンク・レディーはミーとケイという二人の女の子が一緒に仕事をするわけです。すると、どうなるか。ミー・プラス・ケイではなくて、ピンク・レディーというまったく新しい一つの世界が誕生する。ミーの実力とケイの実力とを足せば二になるというのは数量的計算ですが、そうではなく、ピンク・レディーという一つの価値を生み出してしまう。ここに空間的価値構造の面白い世界があります。人間と人間が関係を持てば、その人達が関係を持たなかったら出てこない独特の世界が成り立つのです。存在と存在とが関係を持つことによって、その相乗効果として、そこから出てくる価値、それが空間的価値です。

価値は存在するものではなく、つくり出すものですが、その価値の出てき方には二つの原理があります。一つひとつ、一歩一歩努力していって、自分で確認していって、価値を自己表現としてつくっていく。そういう価値創造の世界が一つあります。そして、自分が誰かと関係を持つことによって、独特の価値が生まれてくる。そういう価値の出てき方の構造がある。両方とも創造的な価値であることは同じです。

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