知る人ぞ知る経営法。ピンク・レディーが教えてくれる人事管理の秘訣

 

ある夫婦がいます。夫婦仲がうまくいっているうちはいいのですが、夫婦関係がまずくなると波紋は広がっていきます。一歩家に入ると、お父さんとお母さんが喧嘩している。それが原因でおじいちゃんとおばあちゃんが喧嘩になる。さらにお父さんとおじいちゃんが喧嘩になって、お母さんと子供が喧嘩になる。もう核家族ではなく、核分裂家族になってしまって、一家はチリヂリバラバラ。そういうことになってしまわないとも限りません。

会社も同じです。その人を一人入れたために、ものすごく全体の営業成績があがるということがあります。逆に、その人を入れたためになぜか団結が崩れてしまい、営業成績がガタ落ちになるということもあります。これが空間的価値構造の面白さであり、恐ろしさでもあります。

だから、人事管理上一番大事なことは、誰と誰とを組み合わせるかということです。両者ともに活かされて最高の価値が顕現してくるのがもっともいいわけです。誰と誰とを組み合わせるのがよりベターな人事配置であるか、実践的に、模索的に徹底的に追求してみる必要があります。

このことは人材活用の点からも、会社経営にとっては大変大事なことですが、これまでの会社の経営では、あまりそのことは考えられていませんでした。定期異動で、ある程度規則的になされるだけで、誰を誰と組み合わせれば最高の価値が出るかといった、空間的価値構造の世界を自覚した人事配置、人事異動はほとんどなされていないといっていいでしょう。

たとえば、人間関係上の問題が起こった場合、その解決はもっぱら個人の責任にゆだねられ、本人の社会性や包容力の問題として片づけられていた場合が多かったように思います。これでは、会社がすべての人間にとって最高の自己実現の場となるというような個性を活かす経営は決して実現できません。

誰と誰とを組み合わせれば最高の価値が出てくるかを模索しながら、人事異動を行う、配置転換を行う。それをしなければ会社は活性化しないし、よりよく機能しません。かえって一人の人間を動かしたために、会社全体に不満をつくり出してしまうこともなきにしもあらずです。

性格の組み合わせ、能力の組み合わせ、人格の組み合わせと、いろいろな要素を考えながら、これからの経営は行われなければなりません。とくに人事部門では、このことはこれから考えていかなければならない重要な問題です。感性の時代においては、人事部門のウエイトが今後重要な位置を占めてくると考えなければなりません。

人間と人間との組み合わせは、これからの会社の在り方、人間の生き方、結婚などなど、あらゆる場面で重視されなければならないし、また、そうなっていくだろうと思います。

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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