ユニクロにヒントを与えた男。元グループ社員が語る、ジミー・ライ氏の素顔
ジミー・ライ氏は、2014年の雨傘運動や2019年の大規模デモに自らプラカードなどを掲げて参加していた他、香港民主化運動に自ら資金を提供し、アメリカにも直接出向いて、ポンペオ国務長官らと会い、支援を呼びかけていた。在日アメリカ大使館は公式Twitterで、ポンペオ氏が今回のライ氏の逮捕を受けて「香港の極めて厳しい国家安全維持法の下で逮捕されたという報道に非常に心を痛めている。中国共産党が香港の自由を骨抜きにし、市民の権利を蝕んでいることが改めて証明された」とツイートしたことを日本語で明らかにした。
ポンペオ国務長官は、「ジミー・ライ氏が、香港の極めて厳しい国家安全維持法の下で逮捕されたという報道に非常に心を痛めている。中国共産党が香港の自由を骨抜きにし、市民の権利を蝕んでいることが改めて証明された」とツイートしました。 https://t.co/ORCBrLzcf2
— アメリカ大使館 (@usembassytokyo) August 11, 2020
壱伝媒グループの台湾支社に勤務していたことのある日本人男性によると、ライ氏は1981年に現在のファストファッションの先駆けとなった服店「ジョルダーノ」を香港で創業。ライ氏と同い年であるユニクロ創業者の柳井正氏は、この「ジョルダーノ」によって製造小売業(SPA)の可能性を知り、のちにユニクロを世界で展開していくこととなったという。
1990年、「ジョルダーノ」の株を売却した資金で、香港にてメディア企業「壱伝媒(ネクスト・デジタル)」を創業。タブロイド日刊紙『アップルデイリー(蘋果日報)』や雑誌『壱週刊』、テレビ局などを香港と台湾に展開し、反中メディアの中心的な人物として知られるようになった。
同元社員の男性は、ライ氏の意外な素顔について以下のようなエピソードを明かした。
「台湾支社に勤務していたとき、ジミー・ライ氏の部屋がある階でエレベーターが止まりました。中に入ってきたのがライ氏本人で、居合わせた同僚たちは緊張のあまり一瞬にして無言に。目的の階に着くと、先に社員らを降ろし、ライ氏は「開」ボタンを押して自ら扉を手で押さえて最後の一人が降りるまで待っていたんです。過激な反中メディア王として、そして強面の外見とは裏腹に、とても紳士的な人物でした」