性的メディアにおける描写の問題点
性的なメディアに接するのは大人ばかりではない。青少年も思春期を迎えれば、性情報を求めるようになる。
筆者は東京都内の複数の大学に通う男女計141人を対象に、性とメディアに関する様々な事柄についてアンケート調査を行なった。
それよると、初めて性的メディアに接した時期は、男子も女子も「小学5年生未満」がトップである。
小学校高学年から始まる学校での性教育をめぐり、「性に関して何も知らない子どもたちを刺激し、『寝た子を起こす』のではないか」との議論が教育界には根強いが、子どもたちはとっくに目覚めている。
性的メディアの入手方法も、現代の青少年はネットを駆使するため、都道府県の青少年健全育成条例によるゾーニングなどは、もはや有効に機能しているとは言い難い。
ネット上の性的なサイト等の閲覧をブロックするフィルタリングも、小中高生の利用率は全体でわずか35%にとどまる(デジタルアーツ、2020年)。
筆者のアンケート調査によれば、性交のために最も参考にする情報源として、男子の6割が性的メディアを挙げている。
性交そのものを描くアダルトDVDなどに加え、性交に至る「誘い方」を指南するネットや雑誌のマニュアルも活用している。
メディアが青少年の「性の教科書」と化しているようだ。
対して「家庭」「学校の性教育」を情報源として挙げた者はゼロだった。
性教育が10代での性交渉を抑制する立場から行なわれてきたためか、「実用的」とは評価されないようである。
家庭でも性に関する情報提供が十分になされず、青少年が性知識をメディアで埋め合わせざるを得ない現状が浮かび上がる。
このことは、青少年の間に性的トラブルが頻発する事態と、何らかの関連性があるのだろうか。