ポスト安倍の超大穴?小池百合子氏が目論む「自民党ジャック」の中身

 

8.小池百合子の自民党ジャックの可能性に対して警戒している人物がいるとしたら、その中心は菅義偉氏でしょう。一部には菅待望論があるのは事実ですが、内閣総理大臣というのは、官房長官とは全く次元が異なるポジションです。国民に対して、世界各国の首脳に対して、官僚の用意した材料に上乗せしたコミュニケーションのスキルを発揮しなくてはならず、そのスキルは世論の厳しい監視に晒されます。安倍総理の場合は、知的訓練をしていない人物ということが支持の基盤にあり、その上で評価されていたわけですが、菅さんのキャラはそれで逃げることは不可能。非常に難しいと思います。

そこで考えられるのが、菅氏が(河野)太郎さんを立てるというシナリオです。ここへ来ての太郎さんの生臭さときたら、もの凄いですね。地上イージスのキャンセル、そして今回の女系天皇容認と、強烈な仕掛けを繰り出してきています。天下取り宣言としか言いようがありません。仮にこの「菅=河野(SK)」秘密同盟があるとして、勿論、その仮想敵は「小池=二階(KN)」密約ということになります。

9.仮にですが、SK同盟とKN密約(どちらも仮説ですが)があるとして、例えばですが、「SK+公明」と「KN+維新」という合従連衡もありえます。その場合ですが、小池さんは以前に「排除の論理」というのをやった前科があります。あれは「旧民主党政権中枢」はイメージと政治的立場が違うので外すということでしたが、要するに「左派ポピュリストは入れない」というものでした。面白い作戦ですが、結局は惨敗したし、現在は未曾有の経済危機で左派政策が必要な時期です。

そこで「SK+公明」の側が、例えば立憲の中で統治スキルのある人(閣僚級という意味で)を一本釣りすることは可能と思います。その上で、宏池会、平成研まで引っ張り込めば、結構な布陣になるように思います。

10.問題はプロセスです。安倍さんが極めて早期に解散の決断をする、そうすると小池の知事辞任+自民復党が間に合わない、でも与党は負ける。安倍さんが退陣する。総裁選で岸田さんになる。経済がより悪化し、社会不安が起きる、そこで再度解散風と小池待望論が出る。その上で「小池=二階」の同盟が登場。小池は「新党」だと失敗するので、「国民民主」の看板で選挙を闘い、選挙後に自民党内の二階の内通で清和会=宏池会連合の崩壊、維新の連携で一気に首班を取りに行く、そんなシナリオが考えられます。

11.菅=河野連合の作戦としては、9.のように布陣を敷く上では可能性が広いわけですが、10.のように小池さんに攻められると、戦いの順番として受け手に回って自滅する危険があります。ですから、あくまで小池がかき回してこないうちに、自民党内の多数派をまず抑える必要があります。ということは、仕掛けがスピーディーにできた場合は、安倍さんの解散の直前、あるいは選挙期間中にクーデターという荒業が必要になります。選挙に負けて安倍退陣となり、その場合の総裁選で自民党総裁のポジションを奪っても、前哨戦で負けているので小池との対決は受け身になります。ということで、作戦的にはSK連合の方に苦しさがあります。

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