ポスト安倍の超大穴?小池百合子氏が目論む「自民党ジャック」の中身

reizei20200825
 

一部報道では、すでに永田町で現実味を持ち語られているとも伝えられる、衆院の解散。そのタイミングもさることながら、安倍首相の後に総理の椅子に座る人物についても高い関心が寄せられています。そんな「ポスト安倍」についてさまざまな要因をもとに予測するのは、米国在住作家の冷泉彰彦さん。冷泉さんは自身のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』で今回、大胆ながらも説得力のある「後継候補とその周辺の動き」を記しています。

安倍政権の「終わり方」を考える

安倍政権の「終わり」が始まりました。総理の健康問題が報道されていますが、それは大きな問題ではありません。問題を左右するのは、解散総選挙のタイミングです。総選挙の時期については、色々なファクターが絡んできます。

1.来年の任期満了が接近すると、解散権の効力がどんどん弱くなり政権に不利となる、できるだけ早期にいい条件のタイミングで解散したいというのが、政権周囲の考え方であると思います。

2.3つの「前」という話があります。「2021年のオリパラが正式にキャンセルとなる前(キャンセルになると安倍政権の責任問題になるため)」「トランプが選挙で負ける前(バイデン政権でも安倍総理は対応可能なので、詭弁とも思えますが)」「株の暴落の前」という「前」のタイミングで解散しないとダメという考え方です。

3.株の暴落だけでなく、日本経済ということで考えると、2020年第3四半期GDPの数字が11月中旬に出ます。第2四半期の年率換算マイナス27.8%というのは衝撃でしたが、第3四半期の数字も悲惨だと、倒産ラッシュ、失業ラッシュの厳しい事態になります。その前に解散というのは政治的には自然と言っていいでしょう。

4.解散風というのは、吹き出すと止まりません。恐らく9月の声とともに一気に吹くのではと思います。

というようなタイミングの話は、余り難しい問題ではありません。問題は、ポスト安倍への政権移譲のプロセスです。

5.衆院選に曲がりなりにも勝利し、余力を残して政権を禅譲するというシナリオはなかなか想像ができません。というのは、選挙後に「世界的な経済不安」あるいは「日本における経済指標の悪化」は免れない中で、ポジティブな禅譲劇というのは、考えにくいからです。と言いますか、現在の安倍総理に後継指名をするだけの権力はないと思いますし、その権力を確保するだけの選挙大勝利というのも考えにくいです。

6.となるとありそうなのは、政権維持ギリギリの線はキープしたが、選挙としては敗北なので、安倍総理は退陣。そこで党内の総裁選で正々堂々と決着させるというシナリオです。岸田、菅、石破、河野、茂木といった顔ぶれで競うことになるわけですが、どうもこのシナリオでは、安定政権を作るのは難しいように思います。国難にあたって、そんな決め方では総理に権力が集中しないし、経済再生とか、日米関係、日中関係といった「従来路線の変更」を世論に納得させることはできないからです。

7.一つの可能性は、「懲りない」小池百合子氏の動向です。新党などの派手な仕掛けだと、有権者がついてこない(国政全般を任せるほどの世論の信用はない)ので、噂されているのは二階氏に接近して自民党に電撃復党、自民党をジャックして一気に党内外に手を突っ込んで新勢力で総選挙という仕掛けです。

その場合に、例えば進次郎氏は往年の小泉純一郎政権における田中真紀子氏の立ち位置になるのかもしれません。そう考えると、唐突な靖国参拝も理解できます。総選挙で派閥が大勝ちして、自民党も過半数維持となれば小池ブームで政権奪取は可能となります。難点は、この方、政治は分かっても経済は全く理解できないのですね。そこを誰が補佐するかということがイメージできないのです。

ちなみに、玉木さんが立憲に行かないのは、イデオロギー対立もありますが、このシナリオに乗りたいからです。徒党を引き連れて党外から乗り込めば、少なくとも閣僚ポストはもらえる、そんな期待が露骨に見え隠れします。立憲に行きそうだが、行かないで玉木さんに同道している人には同じ匂いがします。

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