菅義偉新首相と検察が裏取引?「安倍夫妻は不問に」談合政権の行く末は

 

2つの案件をもみ消した闇工作

案里氏の事件は、買収資金を受け取った100人以上もの地元議員ら関係者が片端から法廷証言に呼び出されるという異例の裁判となりつつあるものの、肝心のその買収資金1億5,000万円の出所については不問に付されることになったようだ。同じ選挙区のもう1人の自民党ベテラン候補には1,500万円なのに、なぜ案里氏に10倍もの金が注がれたのかについては、克行氏の後ろ盾の菅氏と、案里氏のような感じの女性議員を増やしたいという趣味がある安倍首相とが意見一致して、自民党から出る正規の選挙資金を上回る分を官邸機密費から拠出したのではないかという疑惑が囁かれており、検察もそれを承知していた。それを確かめるには、自民党本部と首相官邸を捜査するという前代未聞の事態となるため、成り行きが注目されていた。

また、秋元氏のカジノ疑惑に関しては、共犯者として逮捕された淡路明人氏が問題で、淡路氏は「クローバーコイン」販売のマルチ商法で安倍首相と2人で並んだ写真を餌に3万5,000人を騙し17年に取引停止命令を下され、その後に経緯不明ながら秋元氏の事件に関わっているが、安倍マルチ商法への協力のお礼で昭恵夫人が下関に開設したバー&ホテルUZUのスポンサーになっている。

河井夫妻の事件をこれ以上広げないことは菅氏と安倍首相の共通利害であり、秋元・淡路の事件を安倍首相と昭恵夫人に波及させないことは安倍首相の最新の関心事である。そこで菅氏は、何としても検事総長に押し込もうとしていた黒川弘務前東京高検検事長を「賭け麻雀疑惑」で失脚させると同時に、無理やりだった検察庁法改正案を取り下げることで検察を宥めると共に、その代わりに上の2つの事件に関して菅氏や安倍夫妻に及ばないよう手加減してもらうことを了承させたと言われる。

官邸忍者集団を操る菅氏の隠微

安倍首相は大いに感激して「こういうことは菅ちゃんじゃないとできないよな。岸田には無理だ」と漏らしたそうで、この安倍“有終の醜”のもみ消しのお礼として後継を菅氏でまとめるよう計ったとされる。

黒川氏の賭け麻雀疑惑が表沙汰になったのは、警察庁出身の杉田和博官房副長官を頂点とする官邸の忍者集団の仕掛けと見られている。

16年に日教組の岡本泰良委員長が池袋のキャバレー通いをしていて馴染みの女性がいるという話を週刊誌に書かせて失脚させたのも、17年に文科省の前川喜平元次官が新宿の出会い系バーに出入りしていることを読売新聞にリークして辞任に追い込んだのも、官邸御用の元TBS記者が強姦容疑で逮捕されそうになったのを救って相手の女性に罪をなすりつけるような情報操作をしたのも、すべて菅氏の采配の下での官邸忍者集団の仕業で、これこそが菅氏が地位を上り詰めてきた過程での最も得意とする隠微な技なのである。

こういう陰謀工作が菅に纏わりついて離れない「暗さ」の根源であり、それは昨日今日に身に付けたことではなく、どこにいても常にトップにとって重宝な参謀役というポジショニングから身についたものなのだろう。

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