【サーチ&リサーチ】
「国産ジェット」で検索してヒットした18件の記事。最も古いのはこの記事。
2015年11月12日付
「三菱航空機が開発中のMRJ(三菱リージョナルジェット)が、5度の延期を経て初飛行に成功した」というもの。「国内外から400機以上の発注を受けながら、今年6月のパリ国際航空ショーに現物が間に合わず、ライバルのブラジル・エンブラエル社の受注積み上げを横目に悔しさを味わった」初飛行が遅れた理由について記事は、「型式証明」の難しさを上げている。
*その後、MRJからスペースジェットへの改名などを経て、期待はむしろ高まっていた。米国のメサ航空(アリゾナ州)との商談開始の覚書を結び、「2024年の納入開始の予定で、最大100機の受注を見込み、売上総額は4千億円規模になる見通し」が報じられていた。ところが…。
2019年11月1日付
「トランス・ステーツ・ホールディングス」との最大100機の受注契約が解約された。三菱側は、「最新試験機の完成が遅れているとして「スケジュールの見直しをしている」」と説明。これで、前年にイースタン航空に受注契約を解約されて以来2件目の解約で、受注があった400機から、その4分の1にあたる100機がキャンセルされ、経営への悪影響も避けられないと。
*この段階で、6度目の納入延期の可能性が高まり、ANAホールディングスと補償交渉が進められていることも明らかになった。
*初号機納入は2021年以降に6度目の再延期となり、三菱航空機の社長が交代する。そして今年6月、次のようなニュースが流れる。
2020年6月16日付
「開発責任者の交代に加え、国内外の約二千人の従業員を半分以下に削減。海外拠点は米ワシントン州の試験拠点を除いて全て閉鎖する方針だ。最高開発責任者のアレクサンダー・ベラミー氏が六月末で退任し、米試験拠点の副センター長を務める川口泰彦氏が七月一日付でチーフエンジニアに就任、開発を主導する。今後は、川口氏の下で運航に必要な国の安全認証取得を優先する。海外拠点は米ワシントン州の飛行試験拠点のみを残す」
●uttiiの眼
6月の段階では、三菱が開発費を半分に減らし、大量に雇っていた外国人技術者を大幅に減らすと言われていた。今回はそれ以上に重い「事実上の凍結」であり、これでこのプロジェクトは終わったと判断しても良い状態なのだと思われる。
型式証明を取るための膨大な努力を前に何度も納入時期を延期し、仕方なく、外国人技術者を高額で大量に雇用し、なんとか納入に漕ぎ付けようとしたのだろうが、そうすればするだけ、皮肉なことにイメージとしては「国産」から遠ざかってしまう。
しかも、外国人技術者も結局は用を為さなかった。もともと「国産」に拘る必要などはなく、三菱が外国人の手も借りて、自前のジェット旅客機を作るということで充分だったはずだ。
日本人技術者のみで作る初の国産ジェット機、「日の丸ジェット」などというのは幻想に過ぎなかったということだろう。苦心惨憺した技術者には申し訳ない言い方だが、これでは「笑い話」にもならない。
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