大阪は斜陽の東京に勝てる。その第一歩となる都構想「否決」の意義

 

往時を知る者からすれば、住友銀行が消滅し、住友商事も本店が東京に去ったという事実に直面して、どうして大阪人は我慢しているのか、非常に不思議です。別に東京というのは英語で商売するのが簡単なわけではないし、むしろ欧米への劣等感にまみれた斜陽都市に過ぎません。そんな東京にどんどん大きな会社を持っていかれて平気というのは、とにかく妙な話です。

例えば、日本版GAFAについては関西圏で立ち上げる、そこまで行かなくても渋谷系を凌駕するソフト村を立ち上げる、あるいは沈みゆく東京キー局のマトモな部分を引っこ抜いて、大阪の準キー局が業界再編を主導する、EV(電気自動車)とかAV(自動運転車)の特区を、富士山麓だけでなく大阪でやる、コロナ対策の製薬や医療機器ビジネスなどを、改めて大阪に集中できるよう誘致する、などなど具体的なプロジェクトをどんどん走らせるのです。

勿論、いわゆる関西財界といったものは、東京の大企業よりも輪をかけて劣化しているのは事実です。ですから、多国籍で、老若男女のミックスした全く違う、活力に満ちた全く新しい関西ビジネス界というのを立ち上げて行かねばなりません。

とにかく、大阪が地盤沈下して悔しいし不安だ、一方で税金でうまい汁を吸っている既得権層がいるのは許せない、だから小さな政府論でリストラしてスカッとしたい、という維新の姿勢は、衰退を加速するだけの超貧乏性だったのです。

今回の住民投票敗北で、そのことがハッキリすれば大阪にとっては前進ではないでしょうか。いずれにしても、自民+共産の既得権益連合体が信任されたなどという勘違いだけは、勘弁していただきたいと思います。

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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