いじめ過去最多更新は「積極把握のせい」なぜ文科省は雑な嘘をつくのか

 

何が言いたいのかと申しますと、一点目としては、文科省のいじめ認知件数は、まだまだ、実態には「程遠い」ということが推測されるということです。

とはいえ、年々、実数に近づいていることは確かですが。現実を見つめないと、いじめ対策はできません。そのためにも、正確な数字と、その数字を基にした的確な分析を行うべきだと思います。

二点目としては、多かれ少なかれ、いじめ、あるいは子供たち同士のトラブルは起きるものです。大切なことは、「いじめを解決できるかどうか」ということです。いじめを解決できる学校、いじめを解決できる先生が、いじめ問題の「鍵」です

早期に発見し、いじめにならない段階、からかいやケンカの段階で解決してしまえば、不登校などの重大事態にはなりませんし、いじめと認知されるようにもなりません。

全国の学校が「うちはいじめを解決できる学校です」と自信を持って宣言できるようになっていただきたいと願っています。ですから、学校は「配慮したいじめ認知件数」に固執することなく、堂々と、「実際のいじめ認知件数」を公表していただきたいのです。

今回の発表の中には、学校が把握した生徒の自殺は、いじめ以外も含めて、317人に上り、前年度よりは15人減りましたが、かなり多いといえます。また、今年は、コロナ禍における子供たちの自殺が増えているという報道も相次いでいます。結局、今の子供たちにとって、「学校は素晴らしい」空間になっていないのではないでしょうか。

子供たちが通いたいと思える学校になるために必要なのは安心感だと思うのです。日々、いじめの相談を受けていて感じることは、教師が善悪を明確にしないことが多いということです。

昨日の相談でもあるお母さんは、教頭先生から「加害者にも人権がありますから、本人がやってないというと叱れないんですよ」と言われたというのです。被害者から聞き取りすれば明確ですし、加えて、周囲の子から聞き取りすれば、いじめの事実はより明白になるはずです。

「いじめを叱れません」などという教師がいてはいけません。これでは子供たちが学校に「安心」して通えるはずなどありません。学校の変革する第一歩は、教師が毅然として立ち、「何が悪くて、何が正しいのか」を示すことです。

善悪をはっきり言える教師であるための、その背景には、教師としての自覚や誇りが必要です。文科省には、「私は教師です」と自信を持っている先生を育てていただきたいと思います。

いじめ相談も増えてきています。何かおかしいなとか、お子さんの様子が変わったなとか、気になることがありましたら、ご遠慮無くご相談いただければと存じます。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明

image by: Shutterstock.com

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