【書評】池上彰が斬る。なぜ韓国で自国批判本がベストセラーになったか?

 

1960年代まで韓国の社会的な構成単位は親族だった。韓国の民族性はその親族の原理が、国家的な原理に拡大したものだろう。その本質的な特徴は強力な閉鎖性で、また敵愾心が強い。特に日本に対しては歴史的に受け継がれた敵対感情が、民族主義という名のもとに広がり、強化されたこと、それが韓国種族主義の特徴である。

ドイツや日本は、民族主義が強化される前の短期間に、歴史的ないろいろな代価を払って近代的な個人、自由な個人というものが確立していた。

「しかし、発展途上にあった他の国、特に韓国の場合は、そのような自由な個人というものがなく、言い換えれば歴史的前提条件が十分でなかった。そのため建国後70年間ずっと、前近代的な特徴が強化されて特別な現象を見せていました。種族主義という言葉に『敵対性』という意味がふくまれているのはそのためです」

韓国がまとまるためには「反日」が必要だった。「現在の韓国人の集団的なアイデンティティは、反日の感情を前提にしています。韓国人であるということは、反日の感情に忠実な人間になるということなのです」。

その反日というのは、教育によって形成された。1950年代、1960年代の韓国人の反日感情は、それほど深刻ではない。1970年代以降50年間は、民族主義寄りの反日教育が行われた。

虚偽の歴史によって、過去の歴史が上書きされている。そういうことが、今も続いている韓国。李栄薫はあくまで韓国人として、韓国人に向けて話している。

一日も早く不幸な過去から、歴史から解放されるべきだ。「韓国人がそのように変化すれば、日本人はそれに十分肯定的に、ポジティブに対応してくださると信じています」。この本が韓国で売れているのは明るい兆しか?

編集長 柴田忠男

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