ネット上の査定金額は情弱価格。家の売買 契約相手の正しい選び方は

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不動産を手放すとなった際、少しでも高い金額で売れることを願うのは当然のこと。例えば複数の仲介業者と契約してより売却条件を有利なものにする、ということは可能なのでしょうか。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』ではマンション管理士の廣田信子さんが、読者の方から寄せられたそんな疑問に回答するとともに、専属専任媒介、専任媒介、一般媒介の3つの契約の違いやメリット・デメリットを解説しています。

不動産売却時の媒介契約先はどうやって選べばいいのか

こんにちは!廣田信子です。

先日、不動産売買の専任媒介契約をしたら、契約している売主のために、できるだけ高い価格で、早く買主を見つけるよう努力するのが、不動産仲介業者のあるべき姿なのに、買主からの手数料もダブルで入ることを期待して、自社が直接見つける希望者以外を遠ざけるという望ましくない傾向の話を書きました。

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この記事に対して、下記の質問をいただきました。

私たちが買い物をするときにはいくつかのプラットホームを比較してコスパのいいものを選びますが、物件を売りに出すときにもそのようにいくつかの業者と契約することはできないのですか?

というものです。不動産売買の仲介に当てはめると、何社かに査定を依頼して、高い価格査定をした業者から順番に何社か選んで複数の仲介業者と契約を結ぶ、ということができないのか…という趣旨になると思います。

もちろん可能ですが、査定金額は、この金額で必ず買主を見つけるというものではありませんから査定金額でコスパは判断できません。また複数社と契約を結ぶことは、それぞれの不動産仲介業者にとって、自分たちの収入になる保証がないので、お金や時間を掛けて一所懸命買主を探すモチベーションは、低くなりがちです。

不動産を売却する際、個人で買い手を見つけるのはむずかしく、不動産会社に仲介(媒介)してもらうのが一般的です。「媒介契約」を結ぶ場合は、不動産会社が契約内容を記載した書面を作って売り手に渡すよう、宅建業法により義務づけられています。

媒介契約書には、媒介契約の種類、物件の内容、不動産会社の業務と義務、契約の有効期間、レインズへの登録の有無、手数料などの内容が記載されます。一般的には、国土交通省が定めた「標準媒介契約約款」に基づいて作成されます。

レインズ(REINS)は、不動産流通機構が運営している、不動産情報交換のためのコンピューターネットワークシステムのことで、全国を4つ(東日本、中部、近畿、西日本)のエリアに分けて運営されていています。レインズに登録することで、売却したい物件が広く知られるようになり、会員の不動産会社はリアルタイムで最新の物件情報を検索できます。

媒介契約には、「専属専任媒介」、「専任媒介」、「一般媒介」の3種類があります。売却を1社のみに依頼するのが「専属専任媒介」、「専任媒介」複数の会社に依頼ができるのが「一般媒介」です。3種類の媒介契約の主な違いは…

  • 何社と契約できるか
  • 自ら買い手を見つけていいか
  • 報告頻度がどの程度か

です。それぞれのメリットとデメリットを見ると…

■専属専任媒介契約

メリット

  • 契約を結んだ不動産会社でしか仲介できないため、広告費用をかけるなど積極的に活動をしてもらいやすい
  • 契約後5日以内のレインズへの登録義務がある
  • 不動産会社からの報告頻度が1週間に1回以上と最も高いので売主が販売状況を把握しやすい。

デメリット

  • 自分で買い手を見つけても不動産会社を介さずに売ることはできない
  • 1社のみに任せるため、その会社の力量次第で売却の時期や金額が左右される。
  • 他社との競争がないので、営業が活発でないことがある

■専任媒介契約

メリット

  • 広告費用をかけるなど積極的な販売活動を行ってもらいやすい
  • 契約後7日以内のレインズへの登録義務がある
  • 不動産会社からの報告頻度が2週間に1回以上とされているので、売主が販売状況を把握しやすい

デメリット

  • 1社のみに任せるため、その会社の力量次第で売却の時期や金額が左右される
  • 他社との競争がなく、営業が活発でないことがある

■一般媒介契約

メリット

  • 複数の会社に仲介を依頼できるので、買い手の幅が広がる
  • 会社同士の競争意識がはたらき、営業活動が積極的になる
  • レインズに登録義務がないので、売却物件が公にならない(周囲に内緒で売却することができる)

デメリット

  • 販売状況の報告義務がないため、不動産会社がどのように活動しているか分かりづらい
  • 自社で売却できるとは限らないので、積極的な販売活動をしない可能性もある
  • レインズに登録しない場合、物件情報が広がらない(レインズへの登録義務なし)
  • 複数契約先との連絡・調整をしなければならない

※ 一般媒介契約には、依頼先を公表する「明示型」と、公表しない「非明示型」があり、「明示型」の場合、報告を怠ると営業経費等の支払いが必要

と、メリット・デメリットを見てきました。契約期間に関しては、ほぼ同じで、専属専任媒介契約、専任媒介契約の契約期間は3カ月以内。一般媒介契約の場合は法令上の規制はありませんが、行政指導では3カ月以内です。

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