追い詰められた安倍前首相。「桜」前夜祭にまつわる嘘八百を暴く

shutterstock_1032681793
 

安倍晋三前首相が主催した「桜を見る会」前夜に、安倍氏の後援会が開いた「夕食会」の費用の不足分5年間総額900万円以上を後援会側が負担していたことを関係者が認めたと報じられています。メルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』著者でジャーナリストの内田誠さんは、「夕食会」に関わる記事を1年前から検証し、ウソだらけだった安倍前首相の弁明をあぶり出します。そして検察との取引の可能性にも言及しつつ、追い詰められた前首相の動向に注目しています。

【関連】誰が「安倍前首相を逮捕せよ」の大号令をかけたのか?黒幕候補4つ

「桜を見る会」前夜祭の疑惑を新聞はどう報じてきたか?

きょうは《毎日》の順番ですが、めぼしい独自記事も見当たらないので、《東京》の検索機能を使って「桜を見る会」をテーマにしましょう。とりわけ、まず「発火」した「前夜祭」あるいは「夕食会」の費用補填について。検索ワードを「夕食会and桜」としてやってみると、36件ヒット。無関係のものもありそうですが、とりあえず、これらを対象に。

まずは《東京》の1面トップ記事と2面の解説記事「核心」について見出しから。

(1面)
安倍氏側 800万円補填か
「桜」前日夕食会
会費不足 5年分領収書
周辺が事実認める

(2面)
安倍前首相 説明果たさず
「前首相がうそ」国会招致要求
「桜」夕食会 費用補填
政治推薦、名簿廃棄…問題山積
安倍前首相 主なやりとり
事務所として捜査に全面協力

安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」の前日に都内のホテルで開いた夕食会を巡り、2019年までの5年間に費用の不足分として総額約916万円を負担していたことを後援会関係者が認めたと、朝日新聞。ホテルの領収書は安倍氏の資金監理団体宛だった。

いくつか重要な事実がある。安倍氏は首相在任中、一貫して補填を否定し、違法行為はないと断言してきたが、それらはすべてウソだったことになる。政治資金規正法と公職選挙法違反に問われることは間違いない。

また、野党は安倍氏の国会招致を要求しているが、自民党は「司法がやっていることに立法府が対応するのは慎むべきだ」と主張して拒否。しかし安倍氏は閣僚の不祥事などの際には、再三「政治家として自ら説明責任を果たすべきだ」と公言していた。自分だけは例外にしたいのだろうか。

●uttiiの眼

今回、捜査当局は、ホテル側が出した領収書の控えを手にしていると思われ、もはや、安倍後援会は逃げ道を塞がれた形。少なくとも会計責任者は法的責任を何らかの形で問われることになるだろう。安倍氏は「知らなかった」と自己の責任を回避しようとするだろうが、その点で何らかの捜査の進展があれば、責任追及は安倍氏本人に及ぶことになる。さて、どうだろうか…。

冒頭に記した見立てが当たっていれば、検察は既に安倍氏サイドと取引していて、ある種の「合意」があるかもしれないので、あまりビックリするようなことは起こらないかもしれないが…。

ただ、「桜を見る会」疑惑は、この前夜祭問題に止まらない。公費で行われる催しを私物化した疑惑。第2次安倍内閣成立以降、年々増大してきた費用の問題、後援会関係者接待疑惑、政治枠の問題、そして、安倍氏がジャパンライフ会長を自らの政治枠で招待していた疑惑、名簿の廃棄…など、論点は数多ある。「政治枠」については菅義偉氏にも降りかかってくる可能性がある。

print
いま読まれてます

  • 追い詰められた安倍前首相。「桜」前夜祭にまつわる嘘八百を暴く
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け