いま想定以上に出生率が低下しているのは、若年層が子どもをつくるのを望まなくなったのではなく、日本人の経済力の低下で、平均的な所得の人にとって、もはや子どもを育てるのが容易ではなくなったからだ。いま子どもを持てるのは高額所得者だけだ。高齢者の比率が減少し、現役世代の負担が低下するタイミングにならない限り、いくら少子化対策を実施しても子どもは増えない。
そんなタイミング、来ないだろう。今後、出生率が高まり、人口が増加に転じる可能性はゼロである。日本の人口の減少は100%の確率で起こる。日本は人口減少問題に加え、産業競争力の低下という問題に直面しており、国力の低下が続いている。日本はもはや製造業の盛んな輸出立国ではなく、消費で国を動かす国にシフトしている。これは歴史の必然であり、逆らう必要はない。
「つまり今の日本は、製造業による輸出主導型経済から、個人消費や政府支出を軸にしたコンパクトな消費主導型経済にシフトしている」「消費そのものが拡大することで所得が増え、さらに消費を拡大させるというメカニズムが働かない限り、経済成長は実現しない」ということだ。それにつけても、ずっといい思いを続けてきたうえ、後の心配もしないわたしの世代はずるい。
編集長 柴田忠男
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