接客のプロとして日刊で有益な情報を配信してくださっている、無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』の著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさん。そんな坂本さんは今回、「後出しジャンケン」的な接客法を取り上げ、誰にとっても得のない行動として厳に慎むべきとしています。
後出しジャンケンをやめる
接客の後半、お客様が悩んでいるあたりに、「うーん、ちょっと考えてきてもいいですか」とお客様から言われることがありますよね。
こういう場面で販売員の中には、「今ならポイントがつきますよ」「こういうノベルティがありますよ」などと、慌ててその場で決めてもらおうと特典的なクロージングをかけだす人がいます。
本人的には、最後の最後にクロージングを成功させる隠し玉として持っていたつもりなのでしょうが、たいていそういうやり方で決定に至ることはありません。お客様から見ると、「慌てて色々言い出したな」くらいにしか見えないからです。
私の中ではこういうのを「後出しジャンケン」と扱っているのですが、この手のクロージングをしているという人は、すぐにやめた方が良いでしょう。後出しジャンケンを繰り返していると、お客様からの信頼はどんどん崩れていきます。
お客様は商品を選ぶ時、全ての情報を検討して、その上で判断を下したいと思っています。特典があるならあるで、それも込みで、判断をしたいのです。
クロージングまでの時間、どうするか悩んでいる時間もかかるわけですから、急に特典がつくことでまた判断材料が増えてしまい、余計に悩む時間が長くなってしまいます。だったら、あるならあるで最初に言ってよという感じなんですね。
中にはそうした後出しを喜ぶ人もいますが、そういうお客様はたいていその後も、「今日は何か特典はないのか」と思い出します。特典がないと、むしろ損をした気持ちになり、平気で見限ってきます。そんなお客様を増やせば増やすほど、特典をつけなければいけないこと増えてきて、利益の低下にもつながり、経営を逼迫する一因になってしまうのです。
ですから、本当にお客様に信頼してもらい、商品を売っていくためには、最初から包み隠さず出してしまう方が得策です。接客の後半ではなく、序盤や中盤ででも、「こういう特典がありますよ」ということはきちんと伝えておき、判断材料の一つにしてもらう。そうすることでお客様は、後々に情報が増えて困るようなこともなく、無理のない判断ができます。