月額2980円という価格発表で衝撃を与えたNTTドコモの新料金プラン「ahamo」(アハモ)に対して、KDDIが9日に発表したAmazonなどとの提携プラン発表会の内容が「ドコモに比べて酷い」と大炎上しました。ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんは、自身のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の中で、なぜKDDIの発表が炎上したのかについて解説。さらに、今月に発表されると思われるNTTドコモの「ギガホ」料金改定がKDDIの炎上の「二の舞」にならないかと、その懸念理由を示しています。
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auが「期待ハズレ」「わかりにくい金額表記」で大炎上━━月内発表の「NTTドコモ・ギガホ」は大丈夫か
先週、auが炎上した。
すべてタイミングが悪かったように思う。先々週、NTTドコモが発表した「ahamo」があまりに衝撃的だった。KDDIは先に発表会の日程をアナウンスしており、AmazonやDAZNなどパートナー企業との発表だったため、日程を遅らせるなどの対処ができなかったものと思われる。先月は、武田総務大臣にこっぴどく怒られるなど、ここ最近のKDDIはついていない。
個人的には今回のAmazonプライムがセットになったプランは魅力的に感じている。実際、NetflixやYouTube プレミアム、Apple Musicを契約しているユーザーとしては、「データMAX 5G ALL STARパック」にAmazon プライムが追加になるのは大歓迎だ。
もうひとつ炎上した原因となったのが、金額表記の仕方だ。最終的な割引後の金額しか明示せず、なにも割引のない金額がほとんど示されなかったのに対して、ネット民から批難が殺到した。この割引後の金額しか表記しない問題は、メディアでも再三、取り上げられているが、一向に改める様子がない。今後、消費者庁などから突っ込まれないことには改善しそうにない。
ただ、今回はauが標的となったが、この手の問題はNTTドコモ、ソフトバンクも大して違いは無い。
最近、放映されてるNTTドコモの「ロング学割」のCMも、最後に「ギガホを初めてご利用の方なら900円/月」と表記されているが、最大6ヶ月間であり、その横には「家族3人ドコモ」「ドコモ光セット割」「dカードお支払い割」「ギガホ割」が適用されての「900円/月」だ。ahamoのわかりやすい料金設計で、NTTドコモに対する評価は上がっているが、既存の料金プランの見せ方は何一つ変わっていない。
おそらく今週、もしくは来週あたりに、NTTドコモは宣言通り、ギガホとギガライトの改定を発表してくるのだろう。ahamo発表会の時のプレゼン資料を改めて見てみると、既存の料金プランは「Premier(プレミア)」と題し、「小容量~無制限 フルサポート 家族でおトク」と書いてある。
ahamoがどちらかと言えば若者を中心に単身者を狙い撃ちにしている一方で、既存のギガホ、ギガライトはいままで以上に家族をターゲットにしてくると思われる。
また、NTTドコモとしてはdカードとの組み合わせも強化してくることだろう。その際、設定された金額と家族やカードのセット割をどのように見せてくるかが、結構、難しいのではないか。ahamoでわかりやすく見せることに大成功しただけに、メインとなるプランでいかにシンプルにわかりやすく見せるかの手腕が問われることになりそうだ。
一方で、すっかりだんまりを決めているソフトバンクがどんな動きをしてくるのか。特にワイモバイルの新料金プランは12月中にスタートする。ahamoに見劣りするプランで見切り発車するのか、それともサービス開始前に内容を刷新するのか。
いずれにしても、通信業界的にはまだまだ慌ただしい師走となりそうだ。
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