しかし、首相時代の安倍晋三は、記者からの「今年の漢字一字は?」との質問に「責任」と漢字二字で答えていましたから、菅義偉は数が数えられるだけでも「安倍晋三よりはマシ」ということになります。一方、その菅義偉が、安倍政権時の自分のポストだった官房長官の座に座らせた「ジャパンライフの広告塔」こと加藤勝信は、記者からの同様の質問に対して、次のように答えました。
加藤勝信 「私は就任以来、新型コロナウイルスの感染拡大や企業倒産、失業などを防ぐために全力で取り組んで来た。私にとっての今年の漢字は『防』という字だ」
おいおいおいおいおーーーーい!「感染拡大とGo To キャンペーンは無関係」などと言い放って感染拡大に拍車を掛けまくった上に、企業倒産件数や失業者数を増加させたばかりか自殺者数まで急増させておいて、東西南北どこからどう見ても、お前のやってることは「国民の防御」じゃなくて「国民への攻撃」じゃねえかよ!…と言いたくなりました。
記者会見で日本学術会議の任命拒否問題について質問されると「総合的、俯瞰的な判断」と九官鳥のように繰り返すだけ。都合の悪い質問は、お得意の「ごはん論法」か十八番の「お答えは控えさせていただきます」で逃げまわるだけ。もしかして、加藤勝信の「防」は、記者会見での「防戦一方」の「防」なのではないでしょうか?
それにしても、菅義偉も加藤勝信も、記者や野党議員からの質問に対する回答の3割以上が「お答えは控えさせていただきます」だという国民軽視ぶりにイライラします。あまりにも「お答えは控えさせていただきます」が多いので、菅義偉の天敵、東京新聞の望月衣塑子記者は、菅内閣のことを「何があっても説明しない『お答え控えます内閣』だ」と命名したほどです。
「お答えは控えさせていただきます」という言葉自体は丁寧ですが、これは「答弁拒否」です。首相や官房長官には国民への説明責任があり、国民の代表である野党議員の質問には答える義務があります。この2人は、丁寧そうに聞こえる言葉を連呼して、自らの責任や義務を果たそうとしないのですから、これは完全な「職務放棄」です。この異常なほど無責任な内閣の裏にも、きっと数々の「密」が犇(ひし)めいているのでしょうね。
(『きっこのメルマガ』2020年12月16日号より一部抜粋・文中敬称略)
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