坂井学官房副長官が12月5日夜、ホテル内の飲食店で、熊谷亮丸内閣官房参与(エコノミスト)に語ったとされる以下の発言は、菅首相の考えを代弁したものであろう。
「所信表明の話を聞きたいといって呼びながら、所信表明にない学術会議について話を聞くなんて、全くガバナンスが効いていない」
これを聞いて思い出すのは、一昨年、かんぽ生命不正販売問題を真っ先に報じたNHKに対し、「ガバナンスが効いていない」と経営委員会に猛抗議して、会長に「厳重注意」をさせた日本郵政の上席副社長(当時)、鈴木康雄氏の傲然たる姿だ。
報道や制作の現場で、キャスターやディレクターが、会長ら経営陣の指図を受けず、表現や言論の自由を全うしようとするのはあたりまえのことである。会長らの介入をガバナンスと称し、それを報道機関に求めるのは心得違いも甚だしい。
もし、坂井副長官が望むように、質問の中身さえ、政治権力に縛られるとなれば、もはや報道機関とはいえない。
NHKは受信料大幅値下げをさっさとやって、遠慮なく菅政権に物申してもらいたい。
image by: 首相官邸