再び非常事態宣言か。国民の命より二階氏の顔色を気にする菅総理

tsuda20201228
 

連日のように「毎曜日過去最高」を記録し続ける、新型コロナウイルスの新規感染者数。菅首相は25日、ようやく記者会見を開きコロナ特別措置法の改正を検討する考えを示しましたが、GoToトラブルの一時中止といい、遅きに失した感は否めません。もはや再度の緊急事態宣言発出は避けられないのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者で日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、何より避けるべきは医療崩壊であるとして、その方策を検討・考察しています。

緊急事態宣言の可能性

東京は連日800人以上の新規感染者数になり、それとともに重病者数も81人と大幅に増えている。この状態で年末年始を迎えることになる。今後の対応策を検討する。

菅首相は12月25日にコロナ感染症拡大局面で、やっと記者会見を行った。その記者会見には分科会の尾身会長も同席していた。やっと、尾身会長の意見が菅首相に通るようになったようだ。

この数回、コロナ感染拡大を防止するには、早めの対策が必要であると再三、述べてきたが、やっと、非常に遅いが、菅首相も拡大防止にかじを切ったようである。

国民への感染防止のメッセージも分科会の意見を取り入れているので、やっと、感染防止の出発点に来たようである。

今までは、国民の命より二階幹事長に配慮してGoToトラベルを優先していたが、国民の怒りで支持率が落ち、とうとう二階幹事長への配慮から、本来のリーダーの役割である国民の命を守るという指導者に立ち返ったのであろう。

しかし、現状は、25日東京884人で重症者81人、埼玉県298人、千葉県213人、神奈川県466人であり、首都圏に蔓延している。また、全国で3,832人、死亡者は62人、重症者数は644人となって、すべて過去最多。1週間前より感染者、重症者、死亡者数も大幅に増えている。26日は、東京949人、全国3,878人、重症者数654人で過去最多更新と歯止めがかからない。

23日時点で、病床の使用率が20%以上の「ステージ3」(感染急増)なのが29都道府県で、前週(16日時点)より1県増えた。そして、北海道、群馬、東京、愛知、大阪、兵庫、高知の7都道府県が先週と変わらずに50%以上の最も深刻な「ステージ4」(爆発的感染拡大)になっている。

まずは、医療崩壊を食い止める必要がある。現在、医療従事者の15%が辞職して、コロナ対応では21.3%も辞めているという。これを防止するために、コロナ重症者用1病床に1,500万円、コロナ患者用450万円を補助して、2万8,000病床分の補正予算2,800億円を用意したと。それと、医者と看護師への手当てを用意して、命を削って懸命に努力する医療関係者に報いるとした。一歩前進である。

今まではコロナ対応の病院は赤字であり、冬のボーナスをカットする病院が続発して、病院でもコロナ対応が限界で、経営的にも成り立たないとコロナ病床増加に消極的であった。

もう1つが、特措法を改正して、飲食店の時短に給付と罰則をセットにして整備するとした。

これは、小池都知事が夜10時の時短要請で、それを実行する店より10時以降まで営業している店に客が流れるので、10時以降まで営業する店の混雑がひどくて、何のために時短要請をしてるのか、わからないという苦言に対する答えであろう。同じことを吉村大阪府知事も言っていた。

英国や南アで感染力の強い変異種が出ていることで、この2国からの入国を止めるとしたが、7名の英国からの入国検査で変異種が見つかったことで、全世界から外国人の新規入国を停止した。

尾身会長は、急所として飲食店での会食が一番感染リスクが高いという。しかし、市民は、コロナ感染症に慣れて、行動の制限をしなくなっていることで感染拡大が止まらないと。

大阪と北海道は、不要不急の外出自粛を行い、市民も協力したことで、感染拡大が止まったようであるという。

しかし、小池都知事も年始年末の外出自粛を呼び掛けているが、東京都民は外出している。止まらない。東京は約1年間自粛と言われて、いい加減、飽きてきたのであろう。都知事の言葉が届かない。

このため、東京と首都圏の感染拡大は続いている。尾身会長の言う急所はわかっているが、市民の協力は得られない状態が続くことになり、感染拡大が続いている。

しかし、この年末年始で感染拡大を止めないと、年明けに社会活動が再開すれば、今よりも感染者大急増の危険がある。

50歳以下の若い人たちは、死なないことがほぼ確実であるので、自分事ではない。このため、大勢での会食もするし、3密の場所への外出も行う。

しかし、医療崩壊で病院が満杯になり、交通事故で重傷になったとき、空いている救急病院がなくなるとは思っていない。不慮の事故で亡くなる可能性が増すことを想定していない。コロナでの死亡者も増えるが、がんなど他の病気や事故等での重傷者も死亡する可能性が増すので、コロナ以外での死亡者も増えるとも思っていない。

この医療崩壊は若い人の命も脅かす可能性があるというメッセージの発出が不足しているとみる。

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