最短で3月か。新型コロナ対応に失敗し続ける菅政権が崩壊する日

 

失敗を繰り返すコロナ禍対応

菅首相は12月31日、急拡大するコロナ禍への対策を関係閣僚と1時間半近くも協議したが、その終了後、何ら国民向けのメッセージを発しようともしなかった。記者団が緊急事態宣言を発令するのかどうか問うても、それには答えず、「まず医療体制をしっかり確保して感染拡大回避に全力をあげる」などと間抜けなことを言っていた。

本来であれば、「このままでは緊急事態宣言を出さざるを得なくなる。それを避けるために政府はこれとこれをやり遂げる。だから国民の皆さんもこういう覚悟で正月を過ごしてほしい」と、力強く訴えるべき時だったろう。見るに見かねた小池百合子都知事は1月2日、首都圏3知事を引き連れて内閣府を訪れ、西村西村康稔経済再生担当相に対し「緊急事態宣言」の発令を速やかに検討するよう要求した。

この図柄は菅義偉首相にとって最悪で、本来であれば、年末のコロナ禍拡大の様子を見て菅のほうから4知事を官邸に招き、自分が主導して緊急事態宣言の是非、その条件やタイミングを検討した上、私が責任を以て決断するというポーズを見せるべきであった。それを失して、4知事に押し掛けられてしまったとしても、西村など出さずに、自らが応対し「知事の皆さん、よく来てくれた。一緒にこの難局乗り切りましょう」というようなことを白々しく言い放って見栄を切るべきであったろう。

そうしなかったことによって、「菅は何もせずにボンヤリもしくはオロオロしているところに知事たちが乗り込んで行って『このままでは大変なことになる。どうするんだ!』とねじ込んだ」ということになる。そうすると、仮に政府が「緊急事態宣言」に踏み込まざるを得なくなった場合も「知事たちに言われて仕方なくやった」と言われるのが嫌で、ためらって、無駄な時間を過ごすことにもなりかねない。

つまり、年末年始のこの一幕だけとっても、菅は「勝負所」が分かっておらず、トップ・リーダーは到底務まらない詰まらん政治家だということを、改めて、露呈したのである。

11日にはGoToトラベル一時停止の期限が迫っているが、それまでに押さえ込んで「一時停止解除」という彼にとってのベスト・シナリオはとうに消えているので、またここで未練がましい中途半端な方策を躊躇いながら打ち出して、評判を一段と落とすだろう。こうして、政府の無策とコロナ禍のますます手に負えなくなる拡大との連鎖が続くことになる。

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