なぜ、ソニーは急回復を成し遂げたのか?
さらにここ最近は、保険などの金融事業の収益が上がってきて、メーカーというイメージから脱却しています。株価が高くなる、ということは、投資家の間で、ソニーは成長する、と期待されていることの表れです。その背景には、20年前から継続して、収益構造の転換が進んでいることがあります。
その中には、もちろん金融事業の貢献もありますが、メーカーとしての製品・サービスの進化が大きい、といえます。中でも、ソニーの製品を使っていて感じるのは、ハードの素晴らしさに加えて、ソフトも同時に充実させていることが決め手です。ゲーム機においてはPSシリーズとそのゲームソフト、ということがあります。
私は、この秋から動画コンテンツを、自社で撮影し編集していますが、その時に、撮影に使う機材の中で一番迷ったのが、撮影用のカメラでした。多くの中から色々と迷った末に、ソニーのミラーレスのデジカメに決めました。
決め手になったのは、性能やデザインなどもありますが、撮った動画を編集するソフトの便利さや、使い方を指導してくれるサイトの充実さなどがあります。単に製品を販売するだけではなく、コンテンツやソフトウエアが充実していると、使い勝手が良くなり、他のブランドに浮気をしなくなります。つまり、そのメーカーのファンになりますし、さらに、上級のソフトウエアや付属の製品を販売することで、売り伸ばしをはかることもできます。
製品を売るだけだと、売り切りになってしまいます。せっかく掴んだお客様に1回だけ買ってもらって終わり、ではもったいないですよね。ソニーのように、製品と同時に、ソフトウエアなどのコンテンツを買ってもらえる仕組みがあると、売りきりだったのが「継続の商売」に変わります。
株価が上がるということは、期待されているということですが、ソニーのように、新型コロナウイルスという、不確実な要素がある中でも、着実に成長していける耐久力がある企業が、評価される傾向にあります。その期待の中身は、製品やサービスの質の良さ、というだけではなく、「継続して、収益をあげられる仕組み」としての、ビジネスモデルがあることも、大きな一因です。
あなたも、この機会に、「自社の製品やサービスが売り切りになっていないか」「継続的に買って(契約して)もらえる仕組みを作るには、そうしたらいいか」を考えてみてください。
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