今の日本に必要なのは「成長」ではなく「循環」
今の日本で問題なのは金がないことではなく、金があるのにそれがきちんと循環していない、ということなのです。週に40時間まともに働いて、家族を養うどころか自分がまともに食う事さえできない国というのは、世界中そうそうあるものではありません。
政治家や経済界の人は、それを恥じてほしいものです。これだけ金を持っているくせに、国民をまともに食わせることさえできないのか、ということです。
極端な話、景気対策などは必要ないのです。必要なのは、大企業や富裕層がため込んでいる金を引き出して、金が足りない人のところに分配することだけなのです。
それも、特別なことをしろといっているわけではありません。先進国として最低限度の賃金政策、雇用政策をとるだけでいいのです。
たったそれだけのことで、日本全体が救われます。今の日本の最大の課題は、「経済成長」ではありません。もちろん、経済成長も大事なことではあります。しかし日本の経済競争力はまだまだ健在であり、それほど差し迫った問題ではないのです。
今は、それよりもはるかに切迫した問題があります。世界の10%以上という莫大な金を持っているのに、たった1億数千万人の国民を満足に生活させることができない、という「経済循環の悪さ」です。その点に、為政者、経済界のリーダーたちは気づいていただきたいものです。
「爆発的な経済成長をすれば全ての問題が解決する」という、安直で愚昧な政策を、もうこれ以上繰り返さないでいただきたいのです。何度も言いますが、今の日本は十二分に競争力はあるし、資産も持っています。経済循環が悪いだけなのです。
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今、経済競争力や資産の余力があるうちに、この問題を解決しておかないと、近い将来、経済競争力や資産も失っていきます。
そもそも日本の高い競争力は、誰が担ってきたものでしょうか?日本の高い技術力というのは、十分な教育を受けた勤勉な多くの国民が支えてきたものです。
だから競争力を維持したければ、まずは国民が普通の生活をしていける環境を整えるべきです。そして「金がないから進学できない」「金がないから結婚、出産できない」というような若者を絶対に出さない事です。
企業を優遇すれば、目先の経済指標は上向きます。しかし、国民生活をおざなりにするような国は、長い目で見れば確実に国力を失っていくのです。決して多くない子供の教育さえままならない今の日本では、近い将来、国際競争力を失っていくのは火を見るより明らかです。
東京オリンピックについては、それほど大きな問題ではありません。無理してやる必要はないし、無理してやめる必要もないという程度の問題なのです。
まずはバブル崩壊以降、すっかりしぼんでしまった国民の生活をきっちり立て直すこと、それが大先決の問題なのです。
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