元国税が暴く“売国”の犯人。世界一の金持ち国家・日本が貧しくなった訳

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1月にNHKが行なった調査では、およそ80%が「中止」か「再延期」と回答した東京オリンピック・パラリンピック。しかし政府はあくまで今夏の開催にこだわり続けています。なぜ彼らはここまで頑ななのでしょうか。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では元国税調査官で作家の大村大次郎さんが、東京オリンピックの必要性を検証するとともに、日本は世界一の金持ち国家であるという事実と、そのカネを喘ぎ苦しむ国民に循環させることができない、政治家や財界人を強く非難しています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2021年2月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

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「実は豊か」な日本経済の闇。なぜ金が国民に回らない?

東京オリンピックの開催について、政府はあくまで決行するようですね。ワクチンの普及や今後の感染なども不透明なので今の状況では、なんとも言い難いのですが、去年と同じ過ちをすることだけはしてほしくないものです。

去年、日本政府が、新型コロナ感染の現状を無視して、ギリギリの段階まで東京オリンピックを予定通りに開催しようとしていたことはご存じのとおりです。

世界中に被害が広がり、その深刻さが知れ渡るようになった3月に入っても、政府や東京都は「オリンピックは予定通り開催する」と言い続けてきました。

日本でPCR検査があまりされなかったことに関して、「感染者の数を少なく見せかけて、東京オリンピックを開催にこぎつけようとした」という疑いも持たれています。

明確にその意図はなかったとしても、東京オリンピック開催のために、あまり感染者数は増やしたくないという思惑は、政府にも東京都にも少なからずあったはずです。

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東京都の試算によると、東京オリンピックの経済効果は、誘致決定の2013年からオリンピック10年後の2030年ごろにまで及び、その総額は30兆円を超えるとう超巨額なものです。

競技施設の建設など直接の経済効果は2兆円程度ですが、都市の再開発、宿泊施設など観光業への投資、選手村に使用するマンションの事後販売など多岐にわたります。

もちろん、もし中止になれば大変なことになるはずです。

30兆円の経済効果がふっ飛ぶどころか、下手をすれば費用回収ができないことにより、大きな負債を抱え込むことになりかねません。

安倍前首相にとっても、東京オリンピックは自分の政治生命にかかわるものだったはずです。東京オリンピック誘致計画は安倍前首相が首相に再就任する前から計画されたものでした。

が、安倍前首相は首相に再就任して以降、東京オリンピック誘致に全力を傾けました。安倍前首相にとって、莫大な経済効果が見込めれる東京オリンピックは、アベノミクスの切り札とも考えていたはずです。

また安倍前首相は、日本の「観光立国」を精力的に推し進めてきました。実際に安倍前首相の就任時から、外国人観光客は激増しています。

安倍前首相の就任の年の2012年には800万人だった外国人観光客は翌2013年には1,000万人を超え、2016年には2,400万人、2019年には3,190万人に達していました。

外国人観光客が落とすお金、いわゆるインバウンド需要も3兆円にまで増加していました。

安倍前首相は、2016年に「明日の日本を支える観光ビジョン」と題した中長期の観光施策の指針を発表し、2020年までに達成すべき目標として訪日外国人旅行者数4,000万人などが掲げられました。

この目標達成には、当然のことながら東京オリンピックの開催は不可欠でした。

東京オリンピック延期の発表をするまで、政府は「新型コロナは大したことはない」というようなアピールを繰り返してきました。

中国であれほど新型コロナの猛威が吹き荒れていたというのに、2020年2月いっぱいまで中国人は普通に日本に観光に訪れていたのです。

3月5日になってようやく、中国、韓国、イランからの事実上の入国拒否にしました。しかし、それ以外の国々からはまだ普通に日本に入国できました。

3月14日の時点で、安倍前首相はまだ「オリンピックは予定通りを行なう」と発言しています。が、世界中から非難されはじめたため、3月の終わりにようやくオリンピックの延期を決めたのです。

そして東京オリンピックの延期が決まってからようやく本腰を入れて対策に乗り出したのです。

日本政府がアメリカ、ヨーロッパなどからの入国拒否を決定したのは、3月末のことでした。3月まではアメリカやヨーロッパからの観光客がたくさん日本を訪れていたのです。

イタリアではすでに2月の時点で感染爆発がおき、3月にはそれがヨーロッパ全土におよび、数千人単位の死亡者がでていたにもかかわらずです。

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日本が、入国拒否をだらだらと引き伸ばしたのも、東京オリンピックやインバウンド需要への配慮があったのです。

総額30兆円のオリンピックの経済効果、毎年3兆円にも達するインバウンド需要と、国民の命を天秤にかけ、オリンピックの方を選んで入国拒否をだらだらと遅れさせました。

このことは、現政権と現都知事の大きな失政として、子々孫々まで語り継ぐ必要があると思われます。

そして、菅首相も安倍政権と同じ過ちを繰り返そうとしています。菅首相は、安倍政権でも観光事業の旗振り役でした。去年の秋、GoTo事業を菅首相が強引に行ったことは、記憶に新しいところです。

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