国際スポーツ大会では、優勝候補やスター選手だけでなく、これまであまり知られてこなかった国や選手が世界を驚かせることがあります。そうした「ジャイアントキリング」は勝敗を超えた感動を生み、スポーツ観戦を新たな国や文化との出会いの場へと変えてくれます。今回のメルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』ではジャーナリストの引地達也さんが、サッカーW杯で快進撃を見せるカボベルデをきっかけに、20年以上前の五輪取材で出会った一人の選手との思い出を振り返りながら、スポーツがもたらす新たな発見と魅力について紹介しています。
スポーツの国際舞台で楽しむ新しい発見
国際スポーツ競技の中で「ジャイアントキリング」は、倒されたほうはたまらないが、弱者側が前評判で弱ければ弱いほど、その興奮は高まる。
サッカーワールドカップ(W杯)北中米大会では、アフリカ最西端の島国カボベルデが初出場ながら強豪のスペイン、古豪ウルグアイと引き分け、サウジアラビアとも引き分けた結果、無敗で決勝トーナメントに進出する快進撃に注目が集まっている。
滋賀県程の面積に鹿児島市程の約60万人が住む国。
おそらく場所を正確に示せる人は少ないはず。
名前を初めて聞いた人も多いかもしれない。
代表選手は多くが国外で生まれ育った「ディアスポラ」(離散者)とのことだが、母国では世界のフィールドで活躍する選手への憧憬が、具体的な夢へとつながっていくだろう。
スポーツはやはり夢を与える舞台であってほしいし、スポーツ観戦は新しい世界に出会える機会であるのが、やっぱり面白い。
そんなカボベルデに私が出会ったのは、今から20年以上前のこと。
2004年のアテネ五輪で、取材記者としてアテネの五輪会場を駆け回っていた日々だった。
その時、私は主に外国人選手のサイドストーリーを取材していた。
世界が注目するトップ選手ではなく、メダルが期待される日本人選手でもなく、誰も書かないような外国人選手に焦点を当てて取材し、書く。
その一人がカボベルデから出場した女子新体操のワニア・モンテイロ選手だった。
当時、華やかであり超絶的な動きで魅了する新体操競技の出場選手は白人ばかりで、アテネ五輪では彼女が唯一の黒人選手だった。
選手名簿でそのことに気づいた私だが、カボベルデという聞いたこともないような国にも惹かれた。
まずは本人に会おうと、競技会場に向かう。
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