東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の失言が止まらない。3日に行われた日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で、森会長は「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」と述べ、女性蔑視と取られる発言をした。朝日新聞などが報じた。海外メディアも森会長の発言を問題視しており、大きな波紋を広げている。
森喜朗会長が「女性蔑視」発言で墓穴
この日行われた評議員会はオンライン会議で、記者にも公開されていたにもかかわらず、森会長の“失言演説”は止まらなかった。
「女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげていうと、自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね」「女性を増やす場合は発言の時間もある程度は規制しておかないと、なかなか終わらないので困る」と、女性蔑視と取られる発言を繰り返した。
森会長は2日、自民党本部で開かれた党のスポーツ立国調査会などの合同会議に出席し、「新型コロナウイルスがどうであろうと、必ずやり抜く」と述べ、大会開催に向けた決意を示したばかり。自ら墓穴を掘った形となってしまった。
世界に森会長が晒した「日本の恥」
森会長の失言は世界中のメディアに拡散され、瞬く間に広まった。
米主要紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は「東京五輪トップが会合での女性の制限示唆」との記事を3日朝に配信。新型コロナウイルスの影響で、東京五輪に対する世論が反対に傾く中、森氏の発言で新たな激しい憤りに直面したと報じている。
Yoshiro Mori, the Tokyo Olympics committee president and a former Japanese prime minister, prompted outrage after he said women talked too much in meetings and should have their speaking time regulated.https://t.co/AhCIgPJgpj
— The New York Times (@nytimes) February 3, 2021
また、フランスの主要通信社AFPも「東京五輪トップが性差別発言の報道」との記事を配信した。新型コロナウイルスの収束が見えない中、失言で知られる元首相から飛び出した発言だと報じている。
ロンブー淳は聖火ランナーを辞退
そうした中、お笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳(47)が3日、東京五輪の聖火ランナーを辞退することを自身のYouTubeチャンネルに公開した動画で明らかにした。
田村は愛知県犬山市を走る予定だったが、辞退した理由について「森喜朗会長がインタビューで、東京五輪は新型コロナウイルスがどんな形でも開催するんだという理解不能な発言をした」「タレントは人が集まるからと田んぼで走ることを推奨していたが同意しかねる」などと説明した。
【ご報告】
犬山市の方には大変申し訳ないですが…JOC森会長の発言を受け、
聖火ランナー辞退します。
https://t.co/1BrvsprfSM pic.twitter.com/UPaAsvpqaa— 田村淳 (@atsushilonboo) February 3, 2021
田村は「自分はインフルエンサーとして仕事をしている。沿道に人を集める必要がないのであれば、タレントは身を引くべきだと感じた」と説明。
そのうえで、「五輪開催を願っているが延期派だ。またいずれ五輪が東京で開催されることを強く願っている」と述べた。
1月にNHKが行なった調査では、およそ80%が「中止」か「再延期」と回答した東京五輪。今回、森会長が失言したことで世論はより中止に傾くとみられ、2021年の開催は絶望的になったといえそうだ。