新型コロナウイルスは中国が情報を隠蔽したことで世界に拡散したわけですので、ワクチンを低所得国へ流すことで、中国への批判を緩和しようという狙いがあるのでしょう。また、現在はインフラ建設よりもこちらの支援のほうがカネも稼げますし、さらに、このワクチン外交で発展途上国を借金漬けにすることも可能です。
日本もそうですが、感染拡大は政権に対する不満を高めます。そのため、各国ともワクチンは喉から手が出るほど欲しいはずです。それだけに、中国は自国への批判をやわらげるのみならず、恩も売れますし、カネも稼げる。一石三鳥の効果が見込めるわけです。
ところがここにきて、中国製のワクチンの有効性について、疑問が呈されるようになりました。1月12日には、中国・シノバック製のワクチンの治験を行っているブラジルで、その有効性が当初の78%から50%に引き下げられるということがありました。
50%の有効性では、2人に1人には効かないということになります。
これに対して、アメリカのファイザー社のワクチンは、同社の診療試験では95%の有効性があると発表、また、イスラエルの治験でも92%の有効性が発表されています。
● ワクチン有効性「92%」 ファイザー製2度接種で―イスラエル
こうなると、腹の虫が治まらないのが中国です。ブラジルで中国製ワクチンの有効性低下が発表されて以来、中国によるファイザー製ワクチンについてのフェイクニュース拡散が急増しているそうです。
たとえば、ノルウェーでは、ファイザー製ワクチンの接種を受けた高齢者施設のお年寄り30人が死亡したということですが、もともと他の高齢者施設では1日平均45人が死亡しているところもあり、ワクチンとの因果関係は高くないとされているにもかかわらず、中国の官製メディアでは、いかにもファイザー製ワクチンの副反応で死亡したかのように伝えるケースが多いということです。
冒頭「ニューズウィーク」の記事によれば、ノルウェーでは昨年の12月27日以降、約6万3,000人がワクチンの摂取を受け、そのうち104件に副反応が起こり、死者も出ているそうですが、ノルウェーの医薬品庁は、もともと弱っていた高齢者の状態が更に悪化した可能性もあると見ているとのこと。
しかし、中国では人民日報系の環球時報や中国中央電視台(CCTV)系のニュースチャンネルCGTNなどは、「西側メディアは、この問題をすぐに報じなかった、見て見ぬ振りをしている」と批判したそうです。暗に、ファイザー製ワクチンによって多数の死者が出ているのに、西側諸国はこれを隠蔽しているとほのめかしているわけです。