「注射が上手い」医師&看護師の正体。なぜ痛みに差?医学博士が回答

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新型コロナのワクチン接種が始まったことで、私たちも注射を打つ機会が増えることになりそうですが、子どもに限らず注射を打つのは誰しも嫌なものですよね。そんな中、しゃべる猫「しおちゃん」の飼い主で、米国在住の医学博士しんコロさんの元に、「注射を打つ人によって上手い下手があるのか、痛みに差が出るのはなぜ?」という質問が届きました。しんコロさんは、自身のメルマガ『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』の中で、その質問に何と回答したのでしょうか?

注射を打ったときの「痛みの差」はナゼあるのか?

Question

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私 は持病があり長期入院もした事があるので これまで数え切れないほど注射の針を刺されてきました。中でも採血が1番多いのですが、あの針が刺さる瞬間は、いつになっても慣れず嫌なものです。でも、同じインフルエンザの注射や採血でも、上手な医師・看護師さんだとまったく痛みを感じません。反対に下手な人だと腕がもげるのでないかというくらい痛いです。この差って何なんでしょう?

ちなみに、これまでで一番上手で痛く無かったのは採用1年目の新人ナースで、最も痛いと感じたのは大病院の生理検査室の40~50代くらいのおばちゃんナースでした。おばちゃんナースとは4~5年の付き合いでしたが、毎回もの凄く痛かったです! なので、経験が物を言うとも思えません。

もし痛い打ち方と痛くない打ち方の差のメカニズムが解明できていれば、ぜひ医療現場で研修会(勉強会)などして欲しいな、と切に願っています。( ̄▽ ̄;)

しんコロさんの回答

注射針はいつになっても嫌なものですよね。皆さんも耳にしたことがあるかと思いますが、皮膚には痛点、温点、冷点、触圧点というように、外部刺激を認識する部位があります。特に痛点は密度が高く、1平方センチメートルあたり100~200個存在していると言われています。

採血に用いる注射針は比較的太いので、痛点にほぼ必ず当たりますし、複数の痛点を刺激することになります。一方でインフルエンザワクチンに用いるような細い針であれば逆の理由で痛みが比較的少ないわけです。

さて、痛点は皮膚の上から見えるものではないし、見えても狙って避けて注射することなど不可能なので、「上手な人は痛くない」「下手な人が打つと痛い」というのは、実際は「痛くなかったからあの人は上手」「痛かったからあの人は下手」という結果論で、上手だった人に再び打ってもらったら痛い、ということも十分にあり得ます。

一方で、針を挿入する速度で痛みの感じ方が多少違うのはあると思います。あまりゆっくりと刺すと痛点を刺激しつづけるので、より痛く感じます。

また、採血などは下手な人が行うと「刺し直し」になることがあるので、より痛いというケースもあります。僕も以前、東京の病院で新入りの看護師に採血してもらった時、3回刺し直しても採血ができず、看護師が「ごめんなさい!ごめんなさい!」とテンパり始めたことがあります。僕はその時「100回刺しても大丈夫ですから、気にしないで練習と思ってやって下さい」と「優しい人フウ」なことを言って安心してもらったら、無事成功しました。もちろん、100回刺されて良いわけがありませんが、「しっかりやってよ!」とプレッシャーを与えたら、さらに失敗されていたかもしれません(笑)。

ちなみに、インシュリンやインターフェロンなどを自宅で注射しなければならない人向けに、針を使わない注射器などを開発している企業もあります。バネが付いた特殊な注射器で、細いストリームで高圧で皮膚内に注入するしくみです。

image by: Shutterstock.com

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ねこブロガー/ダンスインストラクター/起業家/医学博士。免疫学の博士号(Ph.D.)をワシントン大学にて取得。言葉をしゃべる超有名ねこ「しおちゃん」の飼い主の『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』ではブログには書かないしおちゃんのエピソードやペットの健康を守るための最新情報を配信。

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