世襲政治家は劣化コピー。閣僚の過半数が世襲議員という日本の大問題

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桜に鶏卵にカジノに金権選挙と、次から次へと発覚する政治とカネの問題。政治家が悪事を働いてはいけないという話とは別に、悪事そのものの幼稚さが日本の政治家の劣化を証明していると語るのは、メルマガ『8人ばなし』著者の山崎勝義さん。その原因として、世襲議員の存在を指摘。菅総理自身は叩き上げでも、閣僚の過半数、自民党の衆議院議員の3割以上がぬるま湯育ちでは、生存戦略など出てこないと、この国の未来を案じています。

このごろ都にはやる物のこと

ここ最近の政治家の悪事は実に幼稚だ。むろん建前としては、政治家である以上悪い事などしないのが当たり前だが、そこは政治家である。すったもんだの政界ですったりもんだりしているうちに「どうしても」という局面に出喰わすこともあるだろう。その時に手を汚せないような小物はいずれ使い物にはならない。政治は畢竟パワーゲームである。素知らぬ顔で汚いことの一つもできないようならおよそ政治家など務まるものではない。

問題はやりようである。以下はもちろん比喩的表現だが、政敵を斬るに返り血を浴びず、金を動かすに気取られず、人を脅すに明言せず、人を貶めるに悪口せず。このようなおよそ王道とは程遠いやり方こそが政治家の王道なのである。

然るに昨今の事件と言えば、桜を見るに個人事業主でもやらぬ杜撰な領収書管理、卵とカジノでは露骨な収賄、挙句広島では法務大臣が票を金で買う始末である。これでは明治の疑獄事件さながらの単純さではないか。こんな出鱈目が途上国ではなく先進国と言われる日本で起こっているのである。

明らかに政治家は劣化している。与党自民党の世襲議員率は3割を超えると言うから、もしかしたらコピーによる劣化のようなものかもしれない。幸いにも菅総理自身は所謂叩き上げの政治家ではあるが、不幸にもその閣僚人事においては過半数が世襲議員である。

生まれながらにしてその地位が保証され、本人が死ぬか引退するまでは誰にもそれを奪われる気遣いがいらないというなら生き残りのための智恵など身に付く筈もない。生存戦略とは常に生き死にが懸っているからこそ必要なのであって、ぬるま湯の内にあってはとげとげしくて寧ろ邪魔になるくらいのものである。

それにしても何という皮肉か。善行、政策、主張、信念などではなく、悪事(実に幼稚な悪事)から政治家の劣化が見えて来るとは。民主主義国家の国民にしてみれば、これはなかなかの責め苦である。

image by:Praneat / Shutterstock.com

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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