人材を育成するにあたり効果的とされる「褒めて伸ばす」という指導法ですが、その運用を誤ると皆が不幸になる危険性があるようです。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、褒める要素がない部下を褒め図に乗らす浅はかな上司と、叱られるとやる気を無くすという部下を厳しく批判。その上で、叱る時は叱り、褒める時は褒めるという「当たり前の指導法」の重要性を説いています。
やる気のない人には、やめてもらえば良い
ある調査によると、「上司に叱られると、やる気を失う」という部下が56%もいると言います。
「バカか、お前は!」
「叱られるのは、ミスをするからだろ!」
「やる気がないなら、やめてしまえ!」
と、根性論で生きてきた私は思うのですが、古くさいのでしょうか。
仕事を憶える過程で叱られるのは当たり前のことで、そんなことでいちいちやる気をなくしていたら、プロとして成長することはもちろん、人間としても成長することはできません。
叱られるというのは、成長のための“バネ”にすべきものです。
一度叱られたら、同じ間違いをしないと心に決めなければならないのです。
いろんな失敗を経験することで、失敗しないやり方を憶えていくものです。失敗しなくなれば、後は成功の確率を高めるだけです。
そこから少しずつ、小さな成功を積み重ねていくうちに、大きな成功を勝ち取ることができるようになるのです。
そうなれば、叱られることもなくなり、ホメられることが増えてきます。
長い過程を経て成功するからこそ、その喜びも大きなものになるのです。
なのに、仕事もロクにできないうちから、「ホメて欲しい」と思うのは、図々しく、傲慢だとさえ言えます。
「ホメて伸ばす」と言われますが、言葉の本質を取り違えているのではないでしょうか。
頑張ったこと、小さな成果に対してホメることで、さらなる“やる気”を出させようとするのが、本来の言葉の意味です。
ホメる要素がないのにホメると、図に乗るだけです。
数多くの叱責の中でホメられてこそ、やりがいとなるのです。
いまの若い上司も、ものごとの本質を見ずに、上っ面の知識だけで行動しようとするから、「ホメて伸ばす」をストレートに実践してしまい、後悔することになるのです。
人の本質など、昔も今も変わりません。
叱る時は叱り、ホメる時はホメなければならないのです。
叱られてやる気を失うのなら、やめてもらえば良いのです。
職を探している人の中には、叱られても歯を食いしばり、やる気に満ちた人はたくさんいるはずです。
ホメられたいだけの人には、早く見切りをつけ、やる気のある人をどんどん中途採用すれば良いのです。
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