私の個人的な経験でも、大喧嘩をした後はいつも人民解放軍側から関係修復を求めてきました。そして中国側は決まって次の言い方をしたのです。「仲がいいから喧嘩をするのです。これからも本音で話し合いましょう」。中国語では、「关系好到可以吵架」「喧嘩するほど仲がいい」と言うのだそうです。
これは直訳的ですが、意味としては次の言い方が適切かも知れません。「不打不成交」「戦いなくして取引なし」。要するに、激論を交わしたからこそ、交渉のテーブルに着こうという気運も生まれる、ということです。
そこから考えると、今回の米中会談での激論は仕掛けた米国側はもとより、中国にとっても織り込み済みの展開だったと考えるべきでしょう。むろん、両国とも国内世論に弱腰でない姿勢を見せつけ、今後の内政運営を円滑にする狙いがあるのはいうまでもありません。
激論を交わすことを避け、忖度に走りがちの日本外交が参考にしてもらいたいアンカレッジ会談でした。(小川和久)
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