年俸たった120円の「おっさんJリーガー」が43歳で格闘家を目指すワケ

 

どんなに有能な詐欺師だって自分自身は騙せない

安彦: せっかくプロになれるチャンスだったのに、選ばれるどころか十分に力を発揮することすらできなかった。このことが恥ずかしくて、そこから人生が暗転していきました。具体的にいうと、「俺はできたんだ。ブラジルで活躍したんだ」といって、まわりの人に嘘をつくようになったんです。

ただ、いくらまわりに嘘をついたところで、自分自身は騙せませんよね。どんなに有能な詐欺師だって自分自身は騙せない。自分を欺き続けることに疲れてしまい、結局サッカーから離れることにしました。

岡崎: 「どんなに有能な詐欺師だって自分自身は騙せない」という言葉は、響きますね。その後、どんな活動をしたんですか?

安彦: いろいろやりましたよ! J1の通訳、サッカースクールの立ち上げ、打のネーションカップの総指揮、発達障害を抱えるサッカースクール、不登校の子どもたちを集めて指導。安彦塾を作り、オンラインセミナー、指導者セミナー。日本代表選手のマネジメント。39歳、このままではだめだ。人生の自分の人生を取り戻さないと。年収1000マンを捨てて40歳でJリーガー。40歳、3月31日、ミットホーリーホックで1年契約。2年目、2019年にWSCC横浜というJ3の契約。2020年WSCC横浜で契約。

岡崎: 来年のチャレンジも組めたらいいですね。「好きを仕事にできる人の本当の考え方」ですね。世の中的には、楽にいこう、とにかく夢を描けばいいという流れがありますよね。でも、現実を見ると、みんなすごく努力をしている。あびさんも「Jリーがーを目指すぞ」と言ったら急にアンチがでてきましたよね。

一番好きなもののために他を犠牲にできるか

安彦: 好きなことを犠牲にすると、ほかの好きなことを絶対的に犠牲にする覚悟が必要です。みんな、夜お酒を飲みに行ったり、週末に映画を見に行ったりしますよね。もし、本当にやりたいことがあったら、そこに使う時間は必要ですか? 僕は、今やらなければいけないことに没頭するべきだと思います。

岡崎: あびさん、お酒も飲むのをやめましたよね。

安彦: やめました。体を作らなければいけないし、飲んでいる時間も練習するべきだと思って。突き詰めていく覚悟が必要ですよね。

やはりプロの格闘家になろうと思ったら、生半可な決意ではできません。そんな簡単な仕事ではないし、好きなことを突き詰めようと思ったら、すべての時間をそこに費やす覚悟が必要です。

以前、テレビでマツコ・デラックスさんが「好きなことで仕事ができていいですね」と質問されたことがあったんですね。そのとき、マツコ・デラックスさんは「あんた違うのよ。好きなことを仕事にとられちゃったから、もう好きではないのよ」と言っていました。

好きなことを突き詰めると、趣味を上回ってしまう。そこをも含めてやれる覚悟が必要だと思うんですね。

岡崎: 「中途半端な好き、にわか好きでは仕事にはできない」ということですね。

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