無敵の同盟誕生か。テスラとトヨタに提携報道、自動車業界に激変の兆し

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以前掲載の「凋落トヨタの時代錯誤。ソフトウェア重視のテスラに絶対勝てぬ訳」で、もはやトヨタが電気自動車の世界でまともに戦える状況ではないと断言した、「Windows95を設計した日本人」として知られる世界的エンジニアの中島聡さん。しかしその現状が変わる日も遠くはないようです。今回中島さんは自身のメルマガ『週刊 Life is beautiful』で、両社が手を組む日が近いとする記事を紹介しつつ、トヨタにとってテスラがいかに理想的な提携相手であるかを解説。その上でトヨタに対して、電気自動車メーカーとしてのシフトチェンジを提言しています。

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プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

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トヨタ自動車とテスラの提携(韓国語)

朝鮮日報(韓国で発行部数最大の新聞社)によるものですが、「関係者の証言」として、トヨタ自動車とテスラの再提携の話が最終段階にまで進んでいるという報道です。どちらかの会社から公式な発表があったわけではないので、「リーク記事」の形をとってはいますが、まったくのガセネタである可能性もあるので注意が必要です。

以下が冒頭の部分を(Google TranslateとDeepLを組み合わせて)日本語に翻訳したものです。

テスラとトヨタは、昨年から提携を検討し、最終段階に近づいていると報じられています。

 

28日、日本の自動車業界関係者によると、テスラとトヨタは小型電気SUVのプラットフォーム(車の基本骨格)の共同開発を検討しているという。昨年から提携検討を行っている。トヨタはテスラに車両プラットフォームを提供し、代わりにテスラは車両に搭載する電子制御プラットフォームやソフトウェア技術の一部をトヨタに提供する。

 

トヨタとの提携が実現すれば、テスラはトヨタのプラットフォームを利用して、コンパクトSUVの電気自動車を低コストで発売することができます。また、年間1,000台程度のテスラの日本での販売台数が大幅に増加することが見込まれます。

この報道によると、テスラは車載コンピュータとソフトウェアのみ提供し、車体はトヨタ自動車が作るとなっています。テスラは電池や駆動部も得意としていますが、この記事を読む限りでは、トヨタが作るように読み取れます。

トヨタ自動車は、長年ソフトウェアを典型的なゼネコン体質(仕様書だけ書いて、一時受けであるパナソニックやデンソーに委託し、そこがさらに下請けのソフトウェア会社に丸投げし、その下で孫請けや派遣社員が劣悪な労働環境でソフトウェアを書く体制)で作って来たので、いまから(電気自動車で重要な)ソフトウェアで勝負するのはとても難しい状況にあります。

その観点から考えれば、テスラとの提携はとても理にかなっています。自動運転に関しては、Uberとの提携の話もありましたが(「Toyota Investing $500 Million in Uber in Driverless-Car Pact」2018年)、その後すぐに、Uberが自動運転部門を切り離してしまい(「Uber sells off its self-driving division to autonomous car startup Aurora」2020年)、梯子を外された形になっています。

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