LINEよりも危険。日本人も愛用のQRコード決済で中国に情報筒抜けの恐怖

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習近平国家主席の独裁強化意欲はとどまる所を知らないようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、アリババグループ傘下企業への中国当局による監視が強化されたという事実を取り上げるとともに、罰金刑を科されたアリババサイドの異常とも言える公開書簡の内容を紹介。さらに、習主席の独裁強化とも密接に関連する、中国政府がアリババグループを管理下に置くことを望んだ理由を解説するとともに、日本人が中国資本のキャッシュレスサービスを使うことにより生じるリスクを記しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2021年4月14日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【中国】中国政府の制裁に「感謝」するアリババの末路と日本の危機

中国アント、金融持ち株会社に再編 当局が監督強化へ

中国人民銀行(中央銀行)は4月12日、アリババグループ傘下で、世界最大のオンライン決済サービスの「アリペイ(支付宝)」を運営するアントグループに対し、銀行と同じような規制対象となる金融持株会社に再編するように命じました。これにより、今後、中国の金融当局の監視が強まり、アントグループの収益力などが低下することが懸念されています。

アントグループは、2020年11月に、香港と上海に上場する予定でしたが、中国金融当局により阻止され、急遽延期となりました。その背景として、10月末にアリババグループ創始者のジャック・マーが中国の金融制度を批判したために、当局が激怒して上場延期に追い込んだとされています。

ジャック・マーも2021年1月に姿を現すまで、約3カ月にわたり消息不明となり、当局に拘束されているのではないかという憶測が飛び交いました。

そして今回のアントグループの大型再編です。2日前の4月10日、中国当局は、アリババグループに対して独占禁止法違反で約182億元(約3,050億円)という過去最大の罰金を課すことを発表したばかりでした。

しかもこのとき、アリババ側は公開書簡で、なぜか金融当局に対して謝意を表明しました。その内容は、「政府の健全な規制や尽力がなければ当社の成長はなかった。そして当社顧客層の全てによる批評と寛容さ、支持は当社の発展に極めて重要」「感謝と敬意でいっぱいだ」というものです。

中国が独禁法違反で巨額罰金、アリババ抵抗できず―6年前とは一変

まるで文化大革命時代の自己批判です。そしてその中国当局は、「健全な規制や尽力」によって、アントグループの金融持株会社への再編を命じたわけです。アントグループにしてみれば、「感謝と敬意でいっぱいだ」ということになるのでしょう。

このことを報じたブルームバーグは、次のように評しています。

これは中国での当局による大手テクノロジー企業への締め付けがいかに独特であるかを示唆している。米当局がフェイスブックやアップルに反トラスト法違反で過去最大の罰金を科したとしたら、マーク・ザッカーバーグ氏やティム・クック氏が公に謝意を示すことはないだろう。

 

中国当局の動きは何から何まで異例づくしだ。わずか4カ月で独禁法調査を終えており、数年を要する欧米とは違いが鮮明だ。

習近平は公安を牛耳り、上海閥を潰そうとしています。香港から自治権を奪ったのも、香港ビジネスを行う上海閥を叩くためだと言われています。ジャック・マーのアリババへの圧力も、その一環だと見られています。そして、習近平の次の標的は共産主義青年団(団派)です。今後は胡錦濤派との内ゲバが激化するのではないかと考えています。

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