LINEよりも危険。日本人も愛用のQRコード決済で中国に情報筒抜けの恐怖

 

台湾の『自由時報』は、かつてジャック・マーが「中国の起業家はいい結末を迎えない」と述べたことを取り上げ、「ジャック・マーの予言が当たった」と報じています。

「中國企業家沒有一個是善終的」馬雲神預言慘成真

そもそも中国政府は、アリババグループやアントグループを政府の管理下に置こうとしていたと見られています。一つには、中国政府が推進する「デジタル人民元」のプラットフォームとして、アリペイなどの電子決済を利用するためです。

もう一つは、膨大な顧客情報を入手し、人民を監視するためです。しかも中国政府はデジタル人民元の海外普及も狙っています。人民元決済を増やすことで、アメリカのドル基軸体制の影響力を削ごうとしているからです。そうなれば、中国人ではない他国人の情報までが中国に握られることになります。

今年の1月11日、ロイター通信は、中国当局がアントグループなどに対して、顧客の信用情報を提供するよう求める方針であることを報じました。表向きは、「過剰な借金や詐欺を防ぐため」という理由ですが、人民監視に利用することは明らかです。

以前のメルマガで、LINEの情報データが中国企業に筒抜けだったことの危険性について書きましたが、あらためてそのヤバさがわかると思います。

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アリペイは日本での加盟店数は30万件を超えていますし(2019年時点)、2019年には国慶節期間中における取引件数で日本が世界1位になりました。

日本におけるアリペイ加盟店数が30万店以上に
中国モバイル決済「アリペイ」取扱件数で日本が世界1位に、大型連休「国慶節」期間で、旅行先にも変化の兆し

しかも日本人もアリペイは利用できます。つまり、中国人のみならず、日本人の情報も中国当局に握られる危険性があるということです。加えて、中国人が日本で何に消費しているかを中国当局が把握することで、日本や日本企業に対して経済的ダメージを与えることも可能です。

それをやられたのが韓国です。中国は2016年に在韓米軍へのTHAADミサイルの配備を決定した韓国に対して、中国人観光客の韓国への渡航制限、韓流タレントの中国メディア出演禁止などの報復措置を現在も行っています。

この報復措置は「限韓令」とよばれていますが、もっとも大きな被害を受けたのは、ロッテマートでした。2016年当時、韓国企業のロッテがTHAAD配備の用地を提供したため、中国国内で展開していた系列のロッテマートが中国当局から「消防設備の不備」などを理由に99店舗中87店舗が営業停止に追い込まれ、2018年には中国からの撤退を余儀なくされました。

THAAD報復に耐えられず…11年で中国から撤退することになったロッテマート

中国当局がアリペイの顧客情報を握った場合、中国当局が内外の日本製品の購入を禁じるような命令を出せば、簡単に不買運動ができてしまいます。日本製品を購入したかどうかを中国当局が確認でき、違反者に罰則が課されるとなれば、誰も日本製品を買わないでしょう。しかも海外でもそれが徹底できるわけです。中国に進出している日本企業にとっては、死活問題になるでしょう。

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