読売新聞が「現在は機関砲搭載の1隻を含む4隻がほぼ毎日航行する」と報じたのは、海上保安の日の12日に刊行された年次報告書『海上保安レポート』に記述されていたからです。それまでは海上保安庁も記者発表のとき、「砲のようなもの」「重武装化が進む」と繰り返しては脅威をあおり、予算増額を狙っている面がありました。
しかし、内外から「近くで並走しているのに『砲のようなもの』とは何事か。確認もしていないのか」、「重武装化というけれども、海上保安庁の尖閣専従部隊は1,000トン級10隻で、全部が30ミリ機関砲と20ミリバルカン砲で武装している。それと比較して語らなければ単なる感想だ」と批判が出て、可能な限り正確に記すように変わったようです。
海上保安庁に限らず、自衛隊も、米軍も、そしておそらくは中国人民解放軍やロシア軍も、相手の勢力を誇張して報告し、予算や発言力の増大につなげようとする性癖は世界共通のものです。それを見抜いて適正な脅威評価をできているかどうかで、その国の安全は左右されます。
私も海上保安庁の政策アドバイザーとして、これからも海上保安庁を応援していきたいと思います。(小川和久)
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