まるで『プロジェクトX』。電球生産会社が成功した「きのこ栽培」秘話

shutterstock_115517866
 

電球生産を本職とする企業が手掛ける希少なきのこが売上を伸ばし、一流料理店等にも納入されていることをご存知でしょうか。今回のメルマガ『杉原耀介の「ハックテックあきばラブ★」』では、システム開発者で外資系フィンテックベンチャーCTO(最高技術責任者)でもある現役東大大学院生の杉原耀介さんが、とある電機製作所が希少きのこ「はなびらたけ」の生産に成功するまでの、『プロジェクトX』を彷彿させるストーリーを紹介。さらに彼らの試みの成功から考えうる、第一次産業に未だ残されていると考えられるチャンスについても考察しています。

ベンチャー企業CTOにして新しいテックトレンドの「預言者」杉原さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

メカだけじゃない、農業や漁業とioTのこれから

立ったままアイスを食べてはいけません

先日、リモート会議とリモート会議の合間に「さあて、アイスでも食べようかな」と冷蔵庫からアイスを取り出し何気なくリビングを通り掛かったら、テレビで静岡県の大井川電機製作所という、もともとは電球生産の会社が「はなびらたけ」という希少キノコを生産して「ホホホタケ」というブランドで売り出している、というストーリーを紹介してました。

いやー、見入りましたね。気がついたらアイスを食べながらずーっと立ったまま最後まで見てた。そして、農業や漁業とioTに関して色々考えさせられるなあと思いましたよというのが今日のお話です。

むっちゃプロジェクトX

さて、ここからは下記のサイトと私が見たTVの情報を交えながらお話ししていくわけですが

自動車用電球メーカーが“幻のきのこ”はなびらたけをつくってるって?!なぜ?

どうやらこの大井川電機製作所さん(長いのでここから大井川さんと略す)は、もともとスタンレーさんが主な取引先で、トヨタの車用の電球などを作って納めてたそうです。でも、おりしもコロナ禍で(それだけじゃもちろんないとは思うけど)仕事が減り、なんとかしよう、よし、新規事業を何か立ち上げなきゃ!と言うことで、始めたのがこのはなびらたけ栽培なんだそうですよ。

言うてもね、そういう部品メーカーが最近の景気を受けて方向転換を図る!という話はよく聞くと思うんです。もともと結構大手もやってますしね、例えば花王が表面活性化技術を使ってフロッピー作ったり、富士フイルムが化粧品やったりとかはいにしえからなされている活動ですね(いや、本当に古い話ばかりで恐縮ですけど)。

やはり「新規事業開発」というと実際はそう言う「隣接技術」に手を伸ばす、つまり今までやってた事業を転用というか、横展開としていろいろやるという形ですよね。

幻のシイタケファクトリー

ただ、大井川さんの話はそれとはちょっと違う。別に電球でキノコを育てているわけでもないし、キノコの栽培に直接的に加工技術が活かされているわけではないわけです。

でも、じゃあ全くトンチンカンに違う業種に手を伸ばしたのか、というとそうでもないと思うんですよね。これは私の予想ですがキノコを作るのはわりと精緻なコントロールが必要で、その管理をするためには電球の生産管理のノウハウというか「技術」が必要だったんだろうなと。

えっ?門外漢のお前に農業の何がわかるって?うん、まあ、たしかにそうなんだけど、実を言うと私、もしコロナが来てなかったら地元の山奥の「シイタケ工場」を買おうとしてたんですよ。廃業するから売りたいって人がいて、結構何度も見に行ったりして、すこしきのこのことも勉強しました。

で、「なんでキノコなの?」というと、そこにはこういう思考が展開されていたのです(もちろん、個人的にキノコのフォルムが可愛いというのもあったんですが)。

新規参入者がガチの農家さんと闘っても勝てない
     ↓
土地の広さが必要で単価が安く大量に取れるもの(例えばジャガイモとか)は土地の取得や農地を買うのが大変
     ↓
できれば単価が高く付加価値の高いものがいい
     ↓
(比較的)天候に左右されない方がいい

と絞り込んでいくと、私が得た結論は「キノコかアスパラガス」と言うことになりました。それで私の場合は比較的風土にあってる椎茸にしようと思ったんですよね。

ベンチャー企業CTOにして新しいテックトレンドの「預言者」杉原さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

print
いま読まれてます

  • まるで『プロジェクトX』。電球生産会社が成功した「きのこ栽培」秘話
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け