タクシー運転手が私に「遊び人」と噂した男を父とは言えなかった話

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先日掲載の「【実録】借金取りに追われた父が親戚宅の押し入れや地下室から出てきた話」では、にわかには信じがたいヤンチャがすぎるお父様のエピソードを紹介してくださった、創刊したばかりのメルマガ『ファンキー過ぎる家族がいてもマジメに生きてる娘の話』著者のミーミーさん。そんなミーミーさんは今回も、ある日の夜、繁華街でタクシーに乗車中だった自身の身に起きた、お父様絡みの「悲劇的」なストーリーを綴っています。

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父の「笑った!困った!驚いた!」エピソード:「ヘイ!タクシー!」

先週は「押し入れから、こんにちは」した父の話を書きました。

【実録】借金取りに追われた父が親戚宅の押し入れや地下室から出てきた話

今回の父も…書き下ろしでいこうと思います。

私が20代の頃のお話。飲み会が終わり、繁華街からタクシーをひろっての帰宅中に事件は起きました。

私を乗せてしばらくして信号待ちで止まったタクシー。その目の前(繁華街の信号)をわが父が楽しそうに渡っているのが見えました。右手に携帯電話を持ち、誰かと話しながら、左手では止まっているタクシーに「よ!」っと手を振って、ご機嫌で歩いております。

(あっ!パパだ)

と思いました。夜でしたし、タクシーのライトで後部座席に私が座っていることには気づいていないようでした。楽しそうに歩く父を目で追っていると、タクシーの運転手さんが言いました。

「あの、今信号を渡っているおじさんいるでしょ」

今、信号を渡っているおじさんは我が父です。

「は、はい」
「あの人ね、ここらへんでスナックをやってるマスターなんだけどね、遊び人でねえ、ああして毎晩遊び歩いているんだよ」

私は運転手さんの名前と顔を見ました。知らない人です。

父よ…知らないタクシーの運転手さんに、遊び人だということをバラされておるぞ。もちろん、運転手さんは私が目の前の遊び人の娘だとは知りません。

ここで、「ええ、知ってます。あの人、私の父なんです」と言ったらどうなるかなぁなんて想像したのですが、せっかく乗ったタクシー。家に着くまでに変な雰囲気になるのもなぁ。

しかし…全然知らないお客さんにペラペラ喋る運転手さんにも、運転手さんの噂のタネにされるぐらい遊び人な父にも、ちょっと呆れてしまって。その後の車内では1人ドヨーンとなりました。

運転手さんよ、あんまり知らない人の話をペラペラ喋っちゃダメですよ。その相手がその娘の可能性がありますからね。父よ、楽しそうに歩いていたね。噂になってるよ。そして恥ずかしいよ。

でもあまりに楽しそうに歩いていたから私も不思議と怒りがわいてきませんでした。なんだか絵に描いたような「遊び人」というキャラクターが歩いているように見えました。

今振り返って思うのですが、何か辛いことや大変なことがあった時、その目の前の人を親だとか子だとか近しい人だと思うと追い詰められます。思い切って「そういうキャラクターが存在している」と思うと案外笑えてくるものです。(メルマガ『ファンキー過ぎる家族がいてもマジメに生きてる娘の話』6月11日号より一部抜粋)

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  2. 父の「笑った!困った!驚いた!」エピソード
  3. 今週の創作(お楽しみコーナー)
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image by: Sean Pavone / Shutterstock.com

ミーミーこの著者の記事一覧

主婦歴10年経ったところで「これからの10年は何をしよう?」とnoteを始める。その中で父について書いた「ジェット風船の行方」で【第2回たまごまる杯金賞】を受賞。その他には岸見一郎氏の『ほめるのをやめよう』についての書評を記事で【読書の秋コンテスト2020 日経BP賞】を受賞。2020年5月から毎日note開始。1年間、エッセイを中心に毎日note更新し、現在も執筆継続中。 1977年熊本市生まれ。大学卒業後、図書館司書として4年間、国語と特別支援の教員として6年間の計10年間、中学校に勤務。結婚を機に福岡市で専業主婦に。夫と息子の3人家族。好きなことがいっぱいです!!(野球と競馬と本が好き。最近は将棋や麻雀も夢中で見ています)

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