東京五輪「強行」は「凶行」となる。医療逼迫で危惧される“戦後最悪の夏”

 

というのも大阪がインドと変わらぬほどの惨劇に見舞われていた時、病院では高齢の重症者にはほとんど積極的治療は行われなかった。具体的に言えば、人工的な呼吸管理等はせずに対症療法のみでなるべく穏やかに逝かせる、というやり方である。これは言うまでもなく、患者本人にもその家族にも「もう十分生きたから」という諦めがあって初めて許容できることである。

ところが40代50代となればそうは行かない。養うべき人もある、見守るべき人もある、まだまだ生きなければならない人たちばかりである。救う側もそれが常識的にも心情的にも分かるから何としても助けようとする。結果、全リソースを投じての総力戦となる。重症者の中心が2.4%にシフトしても医療の現場にその数字分だけの余裕など生じる筈もない。それどころか、その精神的苦痛を考えればこちらの方がよりきついかもしれない。

相手が何であれ誰であれ、単調な戦略だけで最後まで攻め切れる、つまり勝ち切れるものではない。然るに我が政府は「ワクチン、ワクチン」の一辺倒である。少しは専門家の先生たちの控え目な表現の真意を汲み取って、オリンピック開催の危険性を普通に、ごく普通に感じて欲しいのである。それとも皆、揃いも揃ってパロールの分からぬバカばかりとでも言うのだろうか。

image by:Ververidis Vasilis / Shutterstock.com

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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【著者】 山崎勝義 【月額】 ¥220/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 火曜日 発行予定

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