日本の医療問題をまったく知らなかった橋下維新
そもそも日本の医療というのは、常々、「民間病院が多すぎて公立病院が異常に少ない」という問題がありました。ほかの先進諸国の多くは、病床の大半が公立病院か慈善事業系の病院です。しかし、日本の場合は病床の8割が民間病院です。
民間病院は、救急医療や集中治療室など利益にならない医療はしたがりません。そのため日本では、新型コロナ禍以前から、救急医療や集中治療室が弱いということが指摘されていました。これは、日本の医療問題を少しでもかじったことがあれば、誰でもしっていることです。つまりは、日本の場合は、民間病院を減らし公立病院を増やさなければならないのです。
しかし、橋下維新の医療行政は、そのまったく逆をやっていたのです。おそらく橋下維新は、日本の医療の欠陥などを調査することなく、ただただ財政削減に邁進したのでしょう。それが、大阪の医療崩壊、日本で最悪のコロナ死者という大惨事を招いたのです。勉強不足だったのは、橋下氏の方だったのです。
大阪は大都市なのに人口が減っている!
このように新型コロナ禍という災害時には日本で最大の被害をもたらし、危機管理における未熟さを露呈してしまった維新ですが、では平時の行政はどうなのでしょうか?危機管理がまずかったとしても、平時の行政が素晴らしいのであれば、まだ救いようがあります。
維新の場合、橋下氏や吉村知事がテレビに出まくって自画自賛しまくっているので、頑張っているというような印象を持つ人も多いようです。
が、客観的なデータで維新の行政について評価してみるとどうなるでしょうか?実は、それが最悪なのです。
行政がうまくいっているかどうか、もっとも客観的に表れているデータというのは、人口の増減だといえます。その地域が住みやすかったり、魅力があったりすれば人口は増えます。逆に住みにくかったり、魅力がなければ人口は流出します。大阪の場合どうかというと、実は、大都市ではあり得ないような人口流出が起こっているのです。しかも、それは橋下氏が知事になって数年後からのことなのです。
東京や大阪、名古屋のような大都市というのは、企業も学校もたくさんあるので、日本全国から多くの人が流入してくるものです。日本全体では人口が減っていても、まだ日本の大都市部では人口は増え続けています。が、大都市の中で大阪だけは、人口がすでに減少に転じているのです。
下は大阪と東京の人口の推移です。
東京・大阪の人口の推移
東京都 大阪府
2005年 1,258万 879万(+8万)
2010年 1,316万 887万(+8万)
2015年 1,352万 884万(-3万)
2020年 1,397万 882万(-2万)
これを見て東京(首都圏)以外は、大阪だけじゃなくどこも人口減になっているのではないかと思われがちですが、そうではありません。愛知県、福岡県は今も人口は増加しています(福岡県はここ数年で人口横ばいになっていますがそれまでは増加していました)。
つまり、東京、愛知、大阪、福岡という日本の4大都市の中で、大阪だけが人口減に転じているのです。大阪は首都圏に次ぐ、日本で第二の経済圏です。その大阪で人口が減っているというのは大変なことなのです。
また大阪府が人口減に転じたのは、2011(平成23)年のことです。つまり、橋下府政が始まって3年目に大阪は人口が減り始めたのです。しかもその後ずっと減り続けているのです。
大阪府の人口の推移
1990(平成 2)年 8,734,516人
1995(平成 7)年 8,797,268人
2000(平成12)年 8,805,081人
2005(平成17)年 8,817,166人
2010(平成22)年 8,865,245人
2011(平成23)年 8,863,588人 △
2012(平成24)年 8,859,595人 △
2013(平成25)年 8,854,702人 △
2014(平成26)年 8,843,160人 △
2015(平成27)年 8,838,908人 △
2020(令和 2)年 8,817,372人 △